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参考記事: 「ギリシャ語 Polytonic」のキーボード配列

古典ギリシャ語(古代ギリシャ語)をあつかうには、対応しているフォントが必要ですが(古典ギリシャ語用のフォント」)、それだけでは、IME パレットとか ATOK 文字パレットのようなところから、いちいち文字をひろって入力しなければいけません。キーボードから直接入力するためにはキーボードの設定が必要です。以下、Windows XP のばあいを説明します。

コントロールパネルから「地域と言語のオプション」をひらいて、「言語」タブのなかの「テキスト サービスと入力言語」の「詳細」をクリックして、「設定」タブのなかの「インストールされているサービス」の「追加」をクリック、「入力言語の追加」で「入力言語」にギリシャ語をえらんで、「キーボード レイアウト/入力システム」にチェックをいれて、「ギリシャ語 Polytonic」というキーボードに設定します。

こういうふうにしてキーボードを追加すると、言語バーのいちばん左に「JP」とかの2文字の略号のアイコンがあらわれます。ここを左クリックすると設定してあるキーボードの一覧がでてくるので、ギリシャ語を入力するときには「EL」というアイコンのギリシャ語キーボードをえらびます。この操作は[Alt]+[Shift]でもできます。キーボードをいくつも設定しているばあいは、この操作をするたびにキーボードがかわっていきます。このとき左右の[Shift]キーでキーボードがかわる順序が逆になります。

polytonic というのは、「複数のアクセント記号による」ということで、ギリシャ語の「歴史的アクセント表記法」のことです。1982年にこの表記法が廃止されたので、いまでは現代ギリシャ語は το μονοτονικό σύστημα [tɔ‿mɔnɔtɔniˈkɔ ˈsistima ト・モノトニコ スィスティマ](the monotonic system)つまり「単一アクセント表記法」になっています。polytonic には、名まえのとおり複数つまり3つのアクセント記号があって、そのほかに、ふたつの気息記号と、下がきのイオータ、それに補助的な記号があります(現代ギリシャ語のばあいは特別なフォントは必要ありませんし、キーボードの設定は「ギリシャ語 Polytonic」以外のギリシャ語のキーボードでもかまいません)。

このキーボードの配列は、Windows の「スクリーン キーボード」でも一応みることができますが、たりないところがあるみたいです。そこで、つぎにこの「ギリシャ語 Polytonic」のキーボード配列の図をしめして、多少説明をくわえたいとおもいます。

●そのまま

key1

●Shift

key2

●AltGr

key3

●AltGr+Shift

key4

●そのまま&スペースキー

key5

●Shift&スペースキー

key6

●AltGr&スペースキー

key7

●AltGr+Shift&スペースキー

key8

ギリシャ文字の配列は、ラテン文字(ローマ字)の配列がもとになっていて、おおくのばあい、大文字がおなじかたちのものか、古典語か現代語で発音がおなじものをあてはめています。[Shift]キーをつかって大文字を入力するのはラテン文字とおなじです。[Caps Lock]をつかっても大文字は入力できますが、いちばん上の段の文字(というか記号)は[Shift]をつかわないと入力できません。これもラテン文字のキーボードとおなじことです。

文字だけならはなしは簡単なのですが、古典ギリシャ語のばあい(数十年まえのギリシャ語も)、文字にいろいろ記号がつくので、この入力にちょっと手間がかかります。こういう記号のキーはデッドキーになっていて、文字のまえに記号のキーをうって、そのあと文字のキーをうつと、記号つきの文字が入力できます。図ではこのデッドキーをモモ色でしめしています。

「そのまま」と[Shift]だけではわりあてがたりないので、[AltGr]キーもつかいます。[AltGr](Alternate Graphic)というのは右の[Alt]キーのことです。このキーがないばあいは[Ctrl]+左の[Alt]がかわりになります。左の[Alt]だけではこの役わりははたしません。

「そのまま」の上から2段目のいちばん左にあるのは古典語用(歴史的表記法)の鋭アクセント記号です。これに対して、3段目の右から3つ目は現代語のアクセント記号です(ギリシャ語フォントの鋭アクセント記号」)。このちがいは分離記号(¨)とのくみあわせにもあって、「そのまま」の1段目のいちばん左は古典語の鋭アクセント記号と分離記号のくみあわせ、[Shift]の2段目の左からふたつ目と[AltGr]の3段目の右から3つ目のキーは、現代語のアクセント記号と分離記号です。

「そのまま」の1段目の右からふたつ目の記号はながい母音をしめすもので、[Shift]のおなじ位置のものはみじかい母音の記号です。どちらも、辞書とか参考書とかでつかわれるもので、正式なつづりにはありません。

記号の配列についてすこし説明すると、気息記号は、「そのまま」だと無気記号、[Shift]をつかうと有気記号というふうになっています。下がきのイオータは、それだけがつくばあいは[Shift]のところにありますが、ほかの記号とのくみあわせのときは[AltGr]をつかうようになっています。したがって、下がきのイオータと有気記号のくみあわせは[AltGr]+[Shift]になります。

[AltGr]で、1段目の水色のキーの左3つには数字としてつかわれる文字がわりあてられています(アルファベット式ギリシャ数字」「ギリシャ語の文字と発音:Ϝ/Ϛ」「ギリシャ語の文字と発音:Ϙ/Ϟ/Ϟ」「ギリシャ語の文字と発音:Ϡ/Ϡ」)。アルファベット式のギリシャ数字には、この3つの文字が必要なのですが、ユニコードにはこの手のギリシャ数字用のアルファベットが変種をふくめて5文字あって、それぞれ大文字と小文字があることになっています。「ギリシャ語 Polytonic」のキーボードにわりあてられているのは大文字3つですが、ユニコードのわりあてとしては大文字でも、フォントによっては、とくに大文字ということになっていないものもあります。そういうフォントでは、たいてい数字用の文字が3文字か4文字あるだけで、大文字と小文字の区別もありません。

「&スペースキー」というのは、[Shift]や[AltGr]みたいに同時におすのではなくて、記号のキーをうったあとさらにスペースキーをうつことをしめしています。こうすることで、「&スペースキー」とした4つの図の水色のキーの記号が入力できます。黄色のキーの記号にはそのあとに半角スペースがつきます。

「そのまま&スペースキー」の3段目のいちばん右の記号は、フォントによって斜線だったり円の記号だったりします。これはギリシャ語フォントということではなくて、ラテン文字のばあいでもおなじです。

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 ・ギリシャ語フォントの鋭アクセント記号
 ・アルファベット式ギリシャ数字
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2007.03.01 kakikomi; 2011.05.16 kakinaosi

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コメント

Microsoft Power Point 2003で半角のギリシャ文字が入力できなくて困っていたところ、このページを発見しました。
解説通りにやってみたところ、無事ギリシャ文字を入力できました!

非常にわかりやすく、とても助かりました。
ありがとうございました!

投稿: とおりすがり | 2010.07.16 15:38

お役にたてて、さいわいです。

あまり頻繁につかうのでなければ、文字パレットのようなところからいちいち入力してもいいわけですし、半角のギリシャ文字を漢字変換の辞書に単語登録するという手もありますね(もともと登録してある辞書もありますし)。といっても、ギリシャ語の単語を入力するんじゃなくて、記号みたいな感じでギリシャ文字をつかうばあいはこれでいいでしょうが、そうじゃなければ、キーボードを設定したほうが便利でしょう。

投稿: yumiya | 2010.07.16 21:42

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