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参考記事: 古典ギリシャ語のローマ字がき

古典ギリシャ語(古代ギリシャ語)をローマ字(ラテン文字)にうつすやりかたには統一された方式があるわけではありません。ここではいくつかのやりかたをふくめて説明します。

Ααa, ā
a, ā
ha, hā
ΑΙαιai
ΑΙāi
ΑΥαυau
Ββb
Γγg
 (+ γ, κ, ξ, χ)n
Δδd
Εεe
ΕΙειei
ΕΥευeu
Ζζz (zd, sd)
Ηηē
ΗΙēi
ΗΥηυēu
Θθth
Ιιi, ī
Κκk (c)
Λλl
Μμm
Ννn
Ξξx (ks)
Οοo
ΟΙοιoi
ΟΥουū (ou)
Ππp
Ρρr
rh
Σσ, ςs
Ττt
Υυy, ȳ
ΥΙυιyi
Φφph
Χχkh (ch)
Ψψps
Ωωō
ΩΙōi

αιυ は ながいばあいと みじかいばあいがあるので、ながいばあいには辞書や入門書では というように母音をのばす記号をつけます。ただし、この記号は正式のつづりではつけません。ローマ字では、ながい母音には、おなじように母音をのばす記号をつけますが、省略されることもあります。ローマ字でのばす記号を省略することは ηω のばあいにもあります。

単語のあたまにある母音文字にはかならず気息記号がつきます。 についている無気記号は気音[h]がないことをしめしているだけなので、発音にもローマ字にも関係ありません。 のように有気記号がついているばあいは[h]があることをしめしているので、ローマ字でも h でうつします。この気息記号は二重母音では2番めの文字につくので、Αἰαἰ (ai)、Αἱαἱ (hai)のようになります。すべて大文字のばあいは気息記号はつきません。それでも[h]の発音がなくなるわけではないので、ローマ字では h をおぎなう必要があります。

αι は現在では ai でうつされますが、古代ローマ人がギリシャ語をラテン語にうつしたときは ae になりました。西洋語のギリシャ語起源のことばはたいていラテン語がもとになっているので、そのような単語では ai ではなくて ae になっています。さらに、発音の変化にしたがって e になっているばあいもあります。ただし、近現代になってあたらしく古典ギリシャ語からとりいれられた単語では ai がつかわれています。

γγκξχ のまえでは鼻音[ŋ]になるので n でうつされます。ほかにも鼻音になるばあいがあるのですが、ローマ字がきとしては g のままです。

ει は現在ではつづりをうつして ei とすることがおおいようです。ラテン語ではたいてい i でうつされて、母音のまえでは e になることもあるので、ギリシャ語起源の西洋語の単語としては、そういうつづりになっています。ただし、近現代になってあたらしく古典ギリシャ語からとりいれられた単語では ei がつかわれています。

ζ は z になるのですが、古典時代の発音にしたがって zd または sd でうつしているのをみかけることもあります。

κ はラテン語では c でうつされました。でも、ラテン語をはじめとして西洋語の c の発音に変化がおこって、たいてい2とおりの発音になっているので、現在では k でうつされることがおおくなっています。ギリシャ語起源の西洋語の単語のつづりではラテン語以来の c になっていますが、近現代になってあたらしく古典ギリシャ語からとりいれられた単語では k もつかわれています。

ξ は x でうつされますが、ks がつかわれているのをみることもあるかもしれません。

οι は現在では oi でうつされますが、古代ローマ人がギリシャ語をラテン語にうつしたときは oe になりました。西洋語のギリシャ語起源のことばはたいていラテン語がもとになっているので、そのような単語では oi ではなくて oe になっています。さらに、発音の変化にしたがって e になっているばあいもあります。ただし、近現代になってあたらしく古典ギリシャ語からとりいれられた単語では oi がつかわれています。

ου には発音にしたがって ū がつかわれます。のばす記号が省略されていることもあります。また、つづりをうつした ou というのをみることもあります。

有気記号がついた は rh でうつされます。

σ の発音は有声音[z]になるばあいもあるのですが、ローマ字がきとしてはそれはあらわさないで、たいていどのばあいでも s がつかわれます。

υ は単独では y でうつされますが、二重母音の2番めの要素になったときには発音にしたがって u でうつされます。ただし単独でもフランス語圏では、フランス語の発音にしたがって y のかわりに u がつかわれます。

χ をラテン語では ch でうつしました。現在でもこの ch がおおくつかわれています。この ch は、chance の ch とか machine の ch のような発音をあらわしているわけではなくて、character の ch のようなものです。げんに character はギリシャ語起源の単語で、この ch は χ をうつしたものです。ただし、英語では ch の発音がいくつかあるので、わかりやすいように kh がつかわれることもあります(ギリシャ文字 Χ のローマ字がき」)。

つぎにギリシャ語の名まえのローマ字がきの例をラテン語のかたちといっしょにあげておきます。ラテン語には母音をのばす記号をつけません。

ギリシャ語ローマ字ラテン語
ΑἴγιναAigīnaAegina
ΑἰνείαςAineiāsAeneas
ΑἴολοςAiolosAeolus
ΑἰσχύλοςAiskhylosAeschylus
ΑἴσωποςAisōposAesopus
ἌλκηστιςAlkēstisAlcestis
ἈλκιβιάδηςAlkibiadēsAlcibiades
ἈνδρομάχηAndromakhēAndromache
ἈνδρομέδαAndromedāAndromeda
ἈντιγόνηAntigonēAntigone/Antigona
ἈπόλλωνApollōnApollo
ἌρηςArēsAres
ἈριάδνηAriadnēAriadne/Ariadna
ἈριστοφάνηςAristophanēsAristophanes
ἌρτεμιςArtemisArtemis
ἈρχιμήδηςArkhimēdēsArchimedes
ἈσκληπιόςAsklēpiosAsclepius
ἈττικήAttikēAttica
ΒάκχοςBakkhosBacchus
ΓαῖαGaiaGaea
ΔαίδαλοςDaidalosDaedalus
ΔημήτηρDēmētērDemeter
ΔημόκριτοςDēmokritosDemocritus
ΔημοσθένηςDēmosthenēsDemosthenes
ΔιόνυσοςDionȳsosDionysus
ΕἰρήνηEirēnēIrene
ἘπίκουροςEpikūrosEpicurus
ἙρμῆςHermēsHermes
ΕὔβοιαEuboiaEuboea
ΕὐριπίδηςEurīpidēsEuripides
ΕὐρυδίκηEurydikēEurydice
ΕὐρώπηEurōpēEuropa/Europe
ΕὐφράτηςEuphrātēsEuphrates
ΖέφυροςZephyrosZephyrus
ἨλέκτραĒlektrāElectra
ἬπειροςĒpeirosEpirus
ἩράκλειτοςHērakleitosHeraclitus
ἩρόδοτοςHērodotosHerodotus
ἩσίοδοςHēsiodosHesiodus
ἭφαιστοςHēphaistosHephaestus
ἨχώĒkhōEcho
ΘεμιστοκλῆςThemistoklēsThemistocles
ΘησεύςThēseusTheseus
ΘουκυδίδηςThūkȳdidēsThucydides
ἼδηĪdēIda/Ide
ἸθάκηIthakēIthaca
ἼλιονĪlionIlium/Ilion
ἽπποκράτηςHippokratēsHippocrates
ΚλεοπάτραKleopatrāCleopatra
ΚνίδοςKnidosCnidus
ΚρίτωνKritōnCrito
ΚροῖσοςKroisosCroesus
ΚρόνοςKronosCronus
ΚῦροςKȳrosCyrus
ΛυκοῦργοςLykūrgosLycurgus
ΛυσιστράτηLȳsistratēLysistrata
ΜακεδονίαMakedoniāMacedonia
ΜήδειαMēdeiaMedea
ΜυκῆναιMykēnaiMycenae
ΝικόμαχοςNīkomakhosNicomachus
ΞέρξηςXerxēsXerxes
ΟἰδίπουςOidipūsOedipus
ὍμηροςHomērosHomerus
ὈρφεύςOrpheusOrpheus
ΟὐρανόςŪranosUranus
ΠελοπόννησοςPeloponnēsosPeloponnesus
ΠερικλῆςPeriklēsPericles
ΠήγασοςPēgasosPegasus
ΠλάτωνPlatōnPlato/Platon
ΠλούταρχοςPlūtarkhosPlutarchus
ΠλωτῖνοςPlōtīnosPlotinus
ΠολύφημοςPolyphēmosPolyphemus
ΠρόκλοςProklosProclus
ΠρομηθεύςPromētheusPrometheus
ΠτολεμαῖοςPtolemaiosPtolemaeus
ΠυθαγόραςPȳthagorāsPythagoras
ῬόδοςRhodosRhodos/Rhodus
ΣαπφώSapphōSappho
ΣίσυφοςSīsyphosSisyphus
ΣοφοκλῆςSophoklēsSophocles
ΣωκράτηςSōkratēsSocrates
ΤιμόθεοςTīmotheosTimotheus
ὙάκινθοςHyakinthosHyacinthus
ΦαίδωνPhaidōnPhaedo
ΦαῖδροςPhaidrosPhaedrus
ΦειδίαςPheidiāsPhidias
ΦοίβηPhoibēPhoebe
ΦοῖνιξPhoinixPhoenix
ΧαλκίςKhalkisChalcis
ΧριστόςKhrīstosChristus
ΧρύσιπποςKhrȳsipposChrysippus
ΨυχήPsȳkhēPsyche
ὨκεανόςŌkeanosOceanus

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 ・ギリシャ文字 Χ のローマ字がき

2010.11.20 kakikomi; 2011.08.30 kakitasi

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