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モーツァルトの《魔笛》の脚韻

けっこうまえに、モーツァルトの歌劇《魔法の笛》(魔笛)の台本をかいたシカネーダー関係の本がつづけてでたことがあって、そのなかの1冊によると、このオペラの台本には韻のふみかたがおかしいとこがあるってことだった。

それは第2幕第26場、曲の番号でいうと第21番フィナーレの最初のほう。そこはこうなってる。

Erster Knabe. Doch seht, Verzweiflung quält Paminen.
Zweiter und dritter Knabe. Wo ist sie denn?
Erster Knabe. Sie ist von Sinnen.

ここで、2行めの sie denn と3行めの Sinnen が問題らしい。たしかにこれで韻をふんでるとしたらかなりおかしい。だいたいアクセントの位置もあってない。sie denn のアクセントは後半の denn にあるのに、Sinnen のほうは前半の Sin- のところにある。

でもほんとにおかしい? だいたいアクセントもあってないような韻をふむかなあ。アクセントの位置が一致しないってことからしても、ここは韻をふんでるところじゃないってかんがえたほうがいいんじゃないの?

このあとのセリフは Sie quält verschmähter Liebe Leiden. になってて、全部で9音節。引用した1行めも9音節。ところが2行めと3行めはそれぞれ4音節と5音節しかない。でもあわせれば9音節になる。つまり2行めと3行めはあわせて1行ってことだ。韻文の戯曲じゃ、1行の途中でセリフのわりあてがかわるのはよくあることだ。

そうすると、sie denn のところは行のおわりじゃないから、そもそも韻をふむとこじゃない。この行のおわりは Sinnen で、1行めの Paminen と韻をふんでる。

ただしこれは不純韻ってやつで、厳密におんなじ韻にはなってない。でもこういうのは有名な古典にもけっこうあることで、とくにこの台本がテキトーだからってわけじゃない。

2004.09.22 kakikomi; 2009.03.29 kakikae

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