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アテネ・オリンピックのメダルのうら側にはなにがかいてあるのか

アテネ・オリンピックの中継をみてて、メダルのうら側になにがかいてあるのか気になってしょうがなかった。そしたら、女子マラソンの中継でアナウンサーがメダルのうら側の文章を紹介してたんだけど、それは、

  黄金の冠をさずける競技の母、オリンピア、真の女王よ

っていうもので、これはピンダロス(紀元前518年ごろ-438年ごろ)の詩「オリュンピア祝勝歌8」の最初のとこだ。

実際のメダルのうら側はこういうもんなんだけど、古代の文字をまねした書体で古代ふうに大文字だけでかいてあって、ビミョーにわかちがきもしてるみたいにみえる。文章をみると、ΟΛΥΜΠΙΑ [olympíaː オリュンピアー]の最後の Α が聖火の絵にほとんどかくれてるけど、ほかはだいたい絵とはかさなってない。それと ΟΛΥΜΠΙΑ は校訂本の本文だと ΟΥΛΥΜΠΙΑ [oːlympíaː オ~リュンピアー(uːlympíaː ウーリュンピアー)]で、韻律の関係で詩にはこのかたちがつかわれることがあるし、ここでも韻律からかんがえると ΟΥΛΥΜΠΙΑ になるはずだけど、メダルのほうはなんでこれじゃないんだろ。ピンダロスのころはまだ古典ギリシャ語のつづりとしていままでつたわってるつづりにはなってないから、そのころのつづりのまんまなのかな。

これをまずは大文字のまんまで改行もかえないで、いまの文字にするとこうなる。

  ΜΑΤΕΡ Ω ΧΡΥΣΟΣΤΕ
  ΦΑΝΩΝ ΑΕΘΛΩΝ
  ΟΛΥΜΠΙΑ ΔΕΣΠΟΙ
  Ν᾿ ΑΛΑΘΕΙΑΣ

これを小文字もいれたかきかたになおして、改行も校訂本のほうにしたがって、発音もつければ、

  μᾶτερ ὦ χρυσοστεφάνων ἀέθλων, Ὀλυμπία,
  δέσποιν᾿ ἀλαθείας·

メダルにつかわれてるのは2行めの途中までだから、原文だと2行めはにはまだ文章がつづいてる。

で、マラソンの中継できいた訳にはちょこっとちがうとこがあるような気がする。最後の「真の女王」ってとこだけど、これだと「ほんとの女王」って意味になる。じっさい、中継でこの文章を紹介したあと、「まさに真の女王をきめるレース」みたいなことをいってたし。

でも、原文からすれば、ここは「真実の女王」とでもしたほうがいいはず。「ほんとの女王」じゃなくて、「ほんとのことの女王」「真実をつかさどる女王」ってことなんだから。ただし、「真実の女王」って訳しても「ほんとの女王」って意味にもなっちゃうけど。

あと、訳からすると「黄金の冠をさずける」のは「母」ともとれるけど、これは「競技」にかかってることばで、かてば黄金の冠がもらえる競技ってことだ。

こういうこともふくめて、とりあえず訳してみれば、こんな感じかな。

黄金の冠があたえられる競技の母、オリュンピアー、
真実をつかさどる女王よ

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2004.09.16 kakikomi; 2012.10.03 kakikae

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