参考記事: サンスクリット語の文字と発音
(デーバナーガリー文字、梵字、ローマ字がき)
下の表は、デーバナーガリー文字(देवनागरी devanāgarī)と梵字[ぼんじ](悉曇[しったん]文字)の基本の文字(カッコのなかは異体字)とローマ字の対応表です(このサイトでつかっているサンスクリット語のローマ字がきは一般的につかわれているのとおなじものです)。また、京都・ハーバード方式(KH方式)のローマ字もあわせてあげておきます。KH方式は記号つきの文字がつかえないばあいにつかわれてきました(英語などでは Harvard-Kyoto Convention というように京都とハーバードの順番が逆になるようです)。ただし、ネットでみただけでも、KH方式だといっているものどうしですこしちがいがありますし、方式が統一されているものではないようです。だいたい みた目が不細工ですし、ユニコードの時代にいまさら自分でこれをつかう気にはなりません。

デーバナーガリー文字には、子音だけをあらわす文字はなくて、そのままではかならず母音 a がついているので、上の表のローマ字でもそのようにしてあります。
子音だけをあらわすためには、文字の下にビラーマ(विराम virāma)という記号をつけます(क ka → क् k)。梵字でもおなじような記号をつけます。ただし、これは文章の最後が子音でおわるばあいにつかわれるのがほとんどで、子音の連続をあらわすには結合文字がつかわれます(क् k + त ta → क्त kta、क् k + ष ṣa → क्ष kṣa、द् d + र ra → द्र dra、र् r + म ma → र्म rma、त् t + व va → त्व tva、स् s + त् t + व va → स्त्व stva)。
a 以外の母音が子音につづくばあいは、その母音をあらわす記号を文字の上下左右につけます(का kā、कि ki、की kī、कु ku、कू kū、कृ kṛ、कॄ kṝ、कॢ kḷ、के ke、कै kai、को ko、कौ kau)。
a と ā はただながさがちがうだけではありません。a は[ə]のような音、ā ははっきりした[ɑː](アー)です。
e o はながい[エー][オー]しかないので、のばす記号はつけません。
ṛ ṝ ḷ は母音です。ॡ ḹ は実際の単語にはでてこないので上の表にはいれていません。
アヌスワーラ(अनुस्वार anusvāra)といわれる ṃ (ṁ)は語尾では[m]のようなものですが、そのほかさまざまな鼻音をあらわすばあいがあります(→「鼻音のかきかた」の最後のところ)。この ṃ をあらわすデーバナーガリー文字と梵字の《点》は文字のうえにつけられます(कं kaṃ)。
ビサルガ(विसर्ग visarga)といわれる ḥ は[h]の音ですが、すぐまえの母音をともなって、aḥ [əhə アハ]、iḥ [ihi イヒ]、uḥ [uhu ウフ]のように発音されます。また、つぎにつづく子音に同化して、k のまえでは[x]、p のまえでは[ɸ]、ś ṣ s のまえではそれぞれの子音とおなじ ś ṣ s になることがあります。この ḥ をあらわすデーバナーガリー文字と梵字の《ふたつの点》は文字の右側につけられます(कः kaḥ)。
ṅ は[ŋ](カ行・ガ行のまえの「ン」、英語の sing などの ng)をあらわしています。
c は[tʃ](英語の check などの ch)をあらわしています。
j は[dʒ](英語の j)で、[ʒ](フランス語の j)ではありません。
ñ は[ɲ](「ニ」「ニャ」「ニュ」「ニョ」の子音、イタリア語・フランス語の gn)をあらわしています。
ṭ ḍ ṇ ṣ は、英語の r みたいに舌をそらせて発音するそり舌音の[ʈ][ɖ][ɳ][ʂ]です。
t d n は、英語の t d n とちがって、歯音の[t̪][d̪][n̪]です。
kh ch ṭh th ph は無声の有気音で、[kʰ][tʃʰ][ʈʰ][t̪ʰ][pʰ]をあらわしています。
gh jh ḍh dh bh は有声の有気音で、[gʱ][dʒʱ][ɖʱ][d̪ʱ][bʱ]をあらわしています。
ś は ç とかかれることもあります。この発音はもともと[ɕ]でしたが、いまでは「ʃ」と発音されています。
h はもともと有声音の[ɦ]でしたが、いまでは無声音の[h]に発音されることがおおいようです。ただし文法のうえではいまでも有声音としてあつかわれています。
デーバナーガリー文字の数字は、「ギリシャ数字、ローマ数字、アラビア数字、インド数字」にあげてあります。
デーバナーガリー文字のかき順は「デーバナーガリー文字のかきかた」で説明しています。
デーバナーガリー:デーヴァナーガリー。 ビラーマ:ヴィラーマ。 アヌスワーラ:アヌスヴァーラ。 ビサルガ:ヴィサルガ。
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2007.11.22 kakikomi; 2010.07.24 kakitasi
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