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古典ギリシャ語の閉鎖音+流音

古典ギリシャ語で、みじかい母音のあとに子音がふたつ以上つづくと、韻律のうえでながい単位になるんだけど、閉鎖音・流音って順にならんでるふたつの子音がつづくばあいは、そうはならなくて、みじかい単位になることがある。閉鎖音は黙音とも破裂音ともいって、ギリシャ語には[k][kʰ][ɡ][t][tʰ][d][p][pʰ][b]の9つがある。流音は[r]と[l]、それに鼻音の[m]と[n]をふくめることもある。だから閉鎖音・流音の順にならんだ子音のくみあわせっていうのは[kl][tr][pn][br]とかになるけど、これがながい単位をつくらないってことは、ひとつの子音としてあつかわれる、つまりひとつの子音みたいに発音されるってことだろう。ちなみに[dm][dn]はみじかい単位をつくらないし、/ɡ/+/m/、/ɡ/+/n/ は[ŋm]、[ŋn]になるから、これはそもそも閉鎖音+流音(鼻音)じゃなくなる(鼻音のガンマ」)。

ふたつの子音がひとつみたいに発音されるっていえば、身ぢかなとこで日本語の「ツ」の子音[ts]がある。これを分解して[t]と[s]をくらべてみると、[t]の発音は一瞬でおわっちゃうけど、[s]のほうはながく発音してられる。だから[s]は持続音っていうこともある。そいでもって、この持続音ってとこが流音と共通してるから、そのことからかんがえると、けっきょく閉鎖音と持続音のくみあわせがひとつの子音みたいに発音しやすいってことになるんだろう。

この[s]と流音の関係は古代にもいわれてて、いまでいうなら「半母音」って訳せることばでおんなじグループにはいってた。

こういうことは実際の発音をきいてみればなんてことないのかもしれない。でも古代ギリシャ人はもういないから…。それでも、いまのことばがかわりにならないこともない。ラテン語もおんなじだけど、ラテン語の子孫のロマンス語でも、この子音のくみあわせはひとつの子音としてあつかわれてる。だからイタリア語なんかの発音をきいてみれば参考になるだろう。

おんなじことがサンスクリット語じゃおこらない。つまりこの子音のくみあわせはつねにながい単位をつくるんだけど、それは発音からよくわかる。インド人の発音をきいてみると、ヒンディー語なんかでもそうなんだけど、こういうばあい閉鎖音のほうが二重に発音される。たとえば त्र् tr なら[ttr]みたいになる。これじゃさすがにひとつの子音としてあつかわれるわけはない。ただこれを[t]と[tr]にわけるなら、[tr]の部分はいかにもひとつの子音って感じで発音してる。त्र् tr が単語の最初にあるときはとくによくわかる。

古典ギリシャ語:古代ギリシャ語。 みじかい母音:短母音。

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2004.12.01 kakikomi; 2010.12.28 kakinaosi

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