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民族と民俗

ここにも「科学[かがく]」と「化学[かがく]」みたいなおかしなことになってることばがある。ちょっとにてる内容だけにまぎらわしい。「みんぞく」っていえばたぶんまずは「民族」のほうだってたいていのひとはおもうんじゃないかな。だから、「みんぞく」は「民族」だけにして、「民俗」のほうはべつのことばにすればいい。

「民族」とおんなじになっちゃうせいか、「民俗」のかわりに「フォークロア」っていうこともある。こういうふうに外来語をつかう手もあるけど、そうじゃないとすれば、「民間習俗」でいいんじゃないかな。とにかくなんでもかんでも2文字の漢字の熟語にしようっていうのがおおきなまちがいだ。2文字の漢語だとおんなじ発音のがたくさんあるんだから。それから、「民間習俗」以外に「民間伝承」なんてことばもつかわれてるみたいで、これだっていい。

「みんぞくがく」もふたつあるけど、これもおんなじように「民族学」のほうをさすことにして、「民俗学」は「民間習俗学」か「民間伝承学」っていえばいいだろう。これじゃながいっておもうひともいるかもしれないけど、漢字5文字の学問の名まえっていうのも、「天体物理学」とか「文化人類学」とかいろいろあるんだから、わるくないとおもう。

もっとも、「土俗学」ってことばが明治から大正にかけてつかわれてたらしくて、これなんかいいかも? 「どぞく」とおんなじよみなのは「土賊」ぐらいで「土賊学」なんてないんだし。「土俗学」は、民族学と文化人類学と民俗学のことをいってたみたいだけど、いまは「民族学」と「文化人類学」はこのまんまにして、「民俗学」だけをさすものとして「土俗学」をつかう手はあるとおもう。

だとしたら、「民俗」も「土俗」でいい? ただし「土俗」は、その土地の風俗・習慣のことだけじゃなくて、その土地にすんでるひとのこともいったらしいけど、いまはあんまりつかわれてないことばだろうから、風俗・習慣のほうだけをさすことにしてつかうっていうことにすればいいかもしれない。

でも、まあ、ここまでかいたことは漢語でかんがえてみただけのことで、民間習俗のことはそもそも「ならわし」ともいうんだから、これをつかったっていいはずだ。文脈によっては「ならわし」だけじゃなくて「民間のならわし」とかいう必要もあるかもしれないけど。となると、学問としても「ならわし学」? 自分ではわるくないっておもうけど、まあ、学問のほうの習慣からするとこうはいかないか。

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2005.01.14 kakikomi

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