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オスネコは二日よい

最近のNHKのテレビ語学講座にはタレントがレギュラーででてる。イタリア語の加藤ローサとか、ロシア語のさとう珠緒とか、ハングルの山本梓と江川有未とか、女性アイドルがおおいなか、ドイツ語にはおわらいのペナルティー。ふたりとも市立船橋のサッカー部だったから、つぎのワールドカップ関連でサッカーつながりででてるみたい。

このドイツ語講座をちょっとみてたら、「二日よいです」っていうのをドイツ語で Ich habe einen Kater. っていってた。直訳すると「わたしは1匹のオスネコをもっています」。なんでオスネコ(Kater [カーター])が二日よいなんだ? ほかに「筋肉痛」の Muskelkater [ムスケル・カーター](筋肉のオスネコ)っていうのもあったし。

しらべてみると、もともとは Katarrh [カタル]で、このことばは日本語でもカタルっていってるけど、〔鼻〕カゼの意味にもつかわれる。Kater っていうのはこの Katarrh のもじりで、もとは学生ことばだったらしい(佐藤通次『独和言林』白水社)。つまり Katarrh とにてる Kater があったから、そういうようになったってことなのかな。

ほかの辞書(„Wahrig“)には、Katarrh の Eindeutschung ってかいてあった。この Eindeutschung (ドイツ語にすること)っていうのは、外来語をそのまんまにしとかないで、ドイツ語らしいことばにしちゃうことだ。ドイツ語のばあい、外来語のアクセントはたいていうしろのほうにあるけど、もとからある単語は(接頭辞をのぞいて)最初にアクセントがある。Katarrh にしても -tarrh のほうにアクセントがあるから、それを、もともとのドイツ語の単語っぽく Ka- のほうにアクセントをうつして発音したら、けっきょく Kater とおんなじことになって、それが定着したってことなんだろう。

もともとネコとは関係なかったわけだけど、Kater っていうようになったせいか、二日よいのことは Katzenjammer [カッツェンヤマー](ネコのなげき・くるしみ)ともいってる。この Katze [カッツェ]はまずは一般的なネコのことで、オスネコに対しては「メスネコ」の意味にもなる。

ところで、Katarrh には特徴的な rrh ってつづりがふくまれてるけど、この rrh があるのはギリシャ語起源の単語で、これは「ながれおちる」ってことばからきてる。ギリシャ語で κατάῤῥοος (κατάρροος) [katároos カタッロオス]または κατάῤῥους (κατάρρους) [katáruːs カタッルース]で、「あたまから体液がながれおちること、カタル」って意味でつかわれた。この病気が、脳からおりてくる粘液が原因だってかんがえられてたからこういういいかたになったらしい。

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2005.03.05 kakikomi; 2010.12.24 kakinaosi

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