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旧かなづかいは日本の伝統?

旧かなづかいは「歴史的かなづかい」ともいうけど、この「歴史的」っていうのがちょっとくせものだ。いまのかなづかいになるまではずうっと「歴史的かなづかい」だったような錯覚があるんじゃないのかな。丸谷才一が旧かなづかいをつかいだしたとき、日本文学の《伝統》にのっとってるような気分になったとかいうようなことをかいてたけど、これなんかほんとにその手の錯覚だろう。知識としてはそうじゃないってしってるんだろうけど。

「歴史的かなづかい」は、平安時代初期の発音をもとにしたもので、江戸時代の契沖が復元したものがもとになってる。そのあと、契沖の弟子筋ではつかわれてたんだろうけど、古典文学の世界で権威があったのはそれとはべつの定家かなづかいだった。有名な古典で もともと最初っから「歴史的かなづかい」でかいてあったのはないとかいうはなしだし、いま本になってる古典は、つたわってる写本のまんまじゃなくて「歴史的かなづかい」になおしてある。「歴史的かなづかい」は明治なってひろくつかわれるようになったもので、それ以前からずうっとつかわれてた《伝統》的なかなづかいってわけじゃない。

こんなふうに、日本の《伝統》とかおもわれてるもので、じつは明治なってできたものっていうのはけっこうある。神前結婚式もそうだし、いわゆる家族制度なんていうのもそうだろう。

明治のはじめごろにつくられた、全国に 支店 がある一種の慰霊施設は、かたちとしてはいちおう明治よりまえからある《伝統》的な神社の体裁になってはいる。でも、結局は歴史も《伝統》もないもんだから、そこの関係者はなにかっていうと「明治以来の伝統」なんてことをいったりしてる。「明治以来の伝統」ねえ。その程度のものが《伝統》?

なにか問題があるとアンチョクにむかしにもどればいいっておもうひとがいるけど、日本の《伝統》をもちだすとき、どうしてそれが明治どまりなのかな。

もちろん、ただふるけりゃいい、なんていうつもりはまったくない。あたらしいとか ふるいとか《伝統》とかはどうでもいい。ただ、《伝統》とかいって、明治になってつくられた、っていうか、でっちあげられたものをもちだされても…。

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2005.03.16 kakikomi; 2011.07.17 kakikae

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