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サカナはおかず

日本語の「さかな」は、いきもののサカナのほかに、酒のさかなっていうのもある。「さか」は酒で、「な」はおかずだから、もともと酒のさかなのことをいってたのが、いきもののサカナのこともいうようになったわけだ。

これとおんなじようなことがギリシャ語にもある。現代ギリシャ語でサカナのことを ψάρι [ˈpsari プサーリ]っていうけど、これは古代の ὀψάριον [opsárion オプサリオン]がみじかくなったものだ。この ὀψάριον は、ちいさいものをあらわす語尾が ὄψον [ópson オプソン]にくっついてできたことばで、もとになってる ὄψον はもともと「調理されたたべもの、にもの」のことなんだけど、さらに、「肉・サカナ(パンとワインといっしょにたべる)、おかず、おいしいもの(とくにアテネではサカナ)、酒のさかな、薬味、市場、(とくに)サカナ市場」っていう意味になった。ὀψάριον は『ヨハネによる福音書』にもサカナって意味ででてくる。

日本語には「さかな」のほかに「うお」っていうことばもあるけど、これはふだんはほとんどつかわない(とおもう)。ことわざとか、きまったいいかたにはでてくるけど、もうむかしのことばみたいなもんだろう。ギリシャ語でもおんなじようなことがあって、もともとサカナの意味では ἰχθύς [ikʰtʰy̌ːs イクテュース]ってことばがあった。でも、現代語で ιχθύς [iˈxθis イフスィス]っていうのは純正語(文語みたいなもの)で、サカナっていうのは上にあげた ψάρι がふつう。

ついでに、ἰχθύς っていうことばについていうと、キリスト教に関心があるひとはしってるとおもうけど、サカナがキリストのしるしとしてつかわれてたことがあった。なんでかっていうと、ことばの問題としては、Ἰησοῦς Χριστὸς θεοῦ υἱὸς σωτήρ [iɛːːs kiːstós tʰː hyijós sɔːtɛ̌ːr イエースース クリーストス テウー ヒュイヨス ソーテール(発音はとりあえず古典式)](イエス・キリスト、神の子、すくい主)っていう文句のかしら文字をつなげるとちょうど ἰχθύς になるからだ。ただし、これに関してはうお座(うお宮)の時代うんぬんってはなしもある。それか、もしかして最初にサカナをしるしにつかうってことがあって、その説明にあとからこういう文句をかんがえたのかも?

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2005.05.23 kakikomi; 2010.09.12 kakinaosi

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