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ガンガーとガンジス

गङ्गा gaṅgā/गंगा gaṃgāインドのことばで「ガンガー」っていってる川は、日本語だとふつう「ガンジス」だけど、これのもとは英語の Ganges [ガンジーズ]だろう。ちなみに、「ガンガー」をデーバナーガリー文字でかくと、つづりは ふたとおりあって(鼻音のかきかた」)、それをうつしたローマ字も ふたとおりになる。

英語の Ganges をさかのぼるとラテン語の Ganges [ガンゲース]で、そのもとはギリシャ語の Γάγγηςɡáŋɡɛːs ガンゲース]になる。このギリシャ語はインドのことばの語尾をギリシャ語ふうにしたものだろう。

ギリシャのほうにあるはなしとしては、ガンゲースはインドのガンガー川の神で、インドスとカラウリアーのこどもだった。インドスはインダス川の名まえのもとになったひとで、カラウリアーはニュンペー(一種の妖精)。ギリシャ語で Ἰνδός [indós インドス]っていえばインド人のことでもある。で、ガンゲースはよっぱらって母親と関係をもって、あとでそれをしって川に身をなげた。この川はもともと Χλιαρός [kli̥ːarós クリーアロス](あったかい、なまぬるい)っていう名まえだったけど、それ以来ガンゲースってよばれるようになった(高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』〔岩波書店〕による)。このガンゲースは男性名詞で、はなしとしても男だけど、インドのガンガーは女性名詞で女神。

デーバナーガリー文字:デーヴァナーガリー文字。 ガンゲース:ガンゲス。 カラウリアー:カラウリア。 ニュンペー:ニンフ。

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2005.09.10 kakikomi; 2010.09.13 kakinaosi

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