« 新発見の恐竜の学名 | トップページ | ギリシャ語をラテン語式のアクセントでよむ »

バルカン星

バルカン(Vulcan)っていっても「スタートレック」のはなしじゃなくて、太陽系の惑星のはなし。まえに太陽系の10番めの惑星とかいうのがニュースになってたけど(そのまえのセドナとはべつ)、これがほんとに惑星としてみとめられたら、なんていう名まえになるのかってことで、候補としてバルカンの名まえをあげてる記事もあった。

そもそもバルカンっていうのはローマ神話の火と鍛冶の神の名まえだ。ラテン語だとウルカーヌス(Vulcanus)だけど、ウォルカーヌス(Volcanus)ともいって、ギリシャ神話のヘーパイストス(Ἥφαιστος [hɛ̌ːpʰaistos])にあたる。

19世紀フランスの天文学者ルベリエ(U. Leverrier)が、水星の軌道のズレ(近日点の移動)を説明するために、水星の軌道のうち側にほかの惑星を仮定して、それにこの神の名まえをつけた。フランス語だと「ヴュルカン(Vulcain)」になる。

けっきょく水星の軌道のズレはアインシュタインの一般相対性理論(1916)にもとづいた重力理論でほとんど説明がついて、この理論を観測的に実証するものだってかんがえられるようになった。だから水星の軌道のうち側の惑星を仮定する必要はなくなったんだけど、この現象については、太陽が極方向にすこしひらべったくなってるっていうディッケ(R. H. Dicke)の理論でも説明できるっていうから、実際には一般相対性理論の実証にはなってないのかもしれない。

かりに10番めの惑星がみとめられて、バルカンになったとしたら、日本語訳はどうなるんだろ。天王星、海王星、めい王星にならってかんがえるなら、「火王星」とでもなるのかな。

天文学のほうじゃバルカンはなくなったけど、現代神知学の系統だと、やっぱり水星の軌道のうち側にあることになってる。エーテルの惑星だから目にみえなくて、公転周期は19.5804日だとか。それから、とおい未来の地球の状態のことをバルカンっていってるのもある。

水星の軌道のうち側っていうと、ベアード・T・スポールディングの『ヒマラヤ聖者の生活探究』(霞ヶ関書房)に「揺籃[ようらん]の軌道」っていうのがでてきてたっけ。太陽から はきだされてこれから惑星になる原始惑星が水星の軌道のうち側の「揺籃の軌道」つまり「ゆりかごの軌道」をまわってる。この原始惑星はまだ星雲みたいなもんで、目にみえるほどには こりかたまってない。こういうふうに、目にみえなくて、水星のうち側ってとこはバルカンとおんなじなんだけど、名まえはとくにあげてなかった。

エドガー・ケイシーのリーディングにもバルカンがでてくるけど、こっちはめい王星のことで、めい王星が発見されてからはめい王星っていうようになったらしい。

バルカン:ヴァルカン。 ウルカーヌス:ウルカヌス。 ヘーパイストス:ヘーファイストス、ヘパイストス、ヘファイストス。 ルベリエ:ルヴェリエ。 めい王星:冥王星。 神知学:神智学。

2005.10.23 kakikomi; 2009.05.06 kakinaosi

|

« 新発見の恐竜の学名 | トップページ | ギリシャ語をラテン語式のアクセントでよむ »