6時間労働とギリシャ数字
いまは1日8時間労働ってことになってるけど、ギリシャ語の詩で6時間労働をうたってるのがある。
ἓξ ὧραι μόχθοις ἰκανώταται, αἱ δὲ μετ᾿ αὐτὰς「ἕξ[ヘクス]」は「6」、「ὧραι[ホーライ]」は「時間が」、「μόχθοις[モクトイス]」は「骨おりに、苦労に」、「ἰκανώταται[ヒカノータタイ]」は「もっともふさわしい」、「αἱ[ハイ]」は「μετ᾿ αὐτάς [メタウタース]」にかかる定冠詞、「δέ[デ]」はかるい接続詞、「μετά[メタ]」は「~のあと」(つぎの単語が母音ではじまってるから、最後の母音が省略されて「μετ᾿」になってる)、「αὐτάς[アウタース]」は「それら(時間)」、「γράμμασι[グランマスィ]」は「文字(複数)で」、「δεικνύμεναι[デ~クニュメナイ]」は「しめされれば、あらわされれば」、「ζῆθι[ゼーティ/ズデーティ]」は「いきろ」、「λέγουσι[レグースィ]」は「いう、いっている」、「βροτοῖς[ブロトイス]」は「人間たちに」。それから、この詩の形式はエレゲイオン(→「古代ギリシャの韻律:エレゲイオン」)。
γράμμασι δεικνύμεναι ζῆθι λέγουσι βροτοῖς.hex hôrai mokhthois hikanôtatai, hai de met' autâs
grammasi dēknymenai z(d)êthi legûsi brotois.ヘクス・ホーライ・モクトイス・ヒカノータタイ・ハイ・デ・メタウタース
グランマスィ・デ~クニュメナイ・ゼーティ〔ズデーティ〕・レグースィ・ブロトイス6じかんが ほねおり しごとには もっとも ふさわしい。その あとに つづく じかんは
もじで あらわせば 「いきろ」と ひとびとに いって いる。
(『ギリシャ詞華集』10.43)
この詩の2行目は説明が必要だろう。「αἱ (δὲ) μετ᾿ αὐτάς [ハイ・(デ・)メタウタース]」は直訳すれば「それらのあとのものは」ってことだけど、「それら」っていうのは「6時間」のことで、そのあとにつづくのは「7、8、9、10」っていう時間、っていうか数字だ。アルファベットは数字をあらわすのにもつかわれて(→「アルファベット式ギリシャ数字」)、6時間のあとの「7、8、9、10」を、このアルファベット式の数字であらわすと、「ζ、η、θ、ι」になるんだけど、この4つの数字はこの順序でちょうどひとつの単語「ζῆθι[ゼーティ/ズデーティ]」になる。意味は上にかいたみたいに「いきろ」ってことで、動詞の命令形だ。こういうわけで、6時間のあとの時間を文字であらわせば「いきろ」っていってる、ってことになる。
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