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Q.E.D.

数学の証明の最後に Q.E.D. なんてかいたりするけど、これはラテン語の quod erat demonstrandum [クォド エラト デーモ(ー)ンストランドゥム]のかしら文字だ。このもとはギリシャ語の ὅπερ ἔδει δεῖξαι [hóper édeːːksai ホペル エデ~ デ~クサイ]で、有名なとこだとエウクレイデース(ユークリッド)の『原論』によくでてくる。証明がおわったあとの結論の部分に、最初の命題をまるまるくりかえしたあと、このきまり文句がつづく。

ὅπερ は関係代名詞の強調形(まさに~であるもの)で、中性・単数・対格。ἔδειδεῖ [dêː デ~](~しなければならない)っていう非人称動詞(3人称・単数)の直説法・未完了過去。δεῖξαιδείκνυμι [děːknyːmi デ~クニューミ](しめす、みせる、あきらかにする、証明する)のアオリスト・能動・不定詞。直訳すると「証明しなければならなかったまさにそのこと」だけど、ことばをおぎなって訳せば、「これがまさに証明しなければならなかったことである」ってことになるだろう。

ラテン語訳の quod erat demonstrandum はギリシャ語の直訳じゃなくて、文章がうけ身になってる。quod は関係代名詞の中性・単数・主格。ギリシャ語のほうは強調形だから、そのまんまラテン語にすれば quod quidem になるみたいだけど、ここではそうはなってない。erat は sum [スム](ある、いる、~である)の直説法・未完了過去・3人称・単数。demonstrandum は demonstro [デーモ(ー)ンストロー](しめす、証明する)の動形容詞(未来受動分詞)、中性・単数・主格。直訳すれば、「証明されなければならなかったこと」。

『原論』にでてくる、証明しなきゃいけない命題にはふたつあって、ひとつは「定理」。この「定理」のときが ὅπερ ἔδει δεῖξαι でおわる文章になるんだけど、もうひとつの「作図問題」のときは最後のきまり文句がちがう。ὅπερ ἔδει ποιῆσαι [hóper édeː poijɛ̂ːsai ホペル エデ~ ポイエーサイ]、訳せば「(これが)まさに作図しなければならなかったもの(である)」っていうふうに文章がおわる。ποιῆσαιποιέω [poijéɔː ポイエオー](つくる、おこなう)のアオリスト・能動・不定詞。

エウクレイデース:エウクレイデス。

2006.04.20 kakikomi; 2010.09.13 kakinaosi

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