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「シェークスピア」か「シェイクスピア」か

「シェークスピア」ってかくのがいいのか、「シェイクスピア」ってかくのがいいのか。Shakespeare の発音をかんがえれば、まあ「シェイクスピア」のほうかな、ともおもわないでもないけど、自分ではふだん「シェークスピア」っていってる。だから、べつに「シェークスピア」でいいんじゃない、っておもうけど、まあ、べつにどっちでもいいか…。「日本シェイクスピア協会」とか、映画のタイトルで「恋に落ちたシェイクスピア」なんていうのがあるから、「シェイクスピア」になってきてるのかな。

ace を「エース」ってかくみたいに、英語の[ei]がカタカナで「エー」になってるのがおおいのはなんでなんだろ。とりあえず関係ありそうなことといえば、日本語で「えい」ってかいてもふつうは[エー]って発音してるってことだろう。英語(えいご)を[エーゴ]っていうみたいに。それから、英語そのものに[ei]はあっても[eː]はないってこともある。つまり、日本語にも英語にもとりあえず「エイ」と「エー」の区別がないみたいなもんだ。このあたりから英語の[ei]を日本語で「エー」ってうつすことになったのかもしれない。

おんなじようなことはドイツ語にもある。ドイツ語の発音には[eː]はあるけど[ei]はない。だから、英語からはいった外来語に[ei]があると、[eː]って発音することがおおい。Shakespeare もドイツ語としては[ˈʃeːkspiːɐ̯ シェークスピーア]っていってる(英語ふうに発音することもあるけど)。

だからって、べつに「シェイクスピア」ってかくのに反対するつもりはない。これはなりゆきだろうな。でも、ヘンなリクツをつけて「シェイクスピア」のほうがいいっていってるのをみたことがある。『「超」文章法』(野口悠紀雄著、中公新書)って本だ。新聞にのせる原稿を勝手になおされるってはなしのなかで、

「シェイクスピア」は「シェークスピア」に直される。これも社の規則だからというのだが、こんな発音をしたら、(日本以外の)世界のどこでも通じない。社内では見事に統一されているが、国際標準からは全然離れている。これは、日本社会の縮図である。

なんてかいてある。原稿を勝手になおされちゃうのは、どういうかきかたをしてようと、どうかとおもうけど、ここにでてくるリクツはおかしくない? 「世界のどこでも通じない」とかいってるけど、上にかいたみたいにドイツ語圏なら通じるかもしれない。っていうか、そんなことより、そもそも「シェイクスピア」にしても、このまんまのカタカナ発音で外国語としてどれほど通じるんだか…。「シェークスピア」でも「シェイクスピア」でもこれは日本語で、その日本語のまんまで外国に通用するかどうかなんていったってしょうがない。「国際標準」だの「日本社会の縮図」だのってことじゃないだろう。べつに「シェイクスピア」に反対なわけじゃないけど、ここにかいてあるリクツはどうかとおもう。

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2006.09.18 kakikomi; 2011.08.08 kakinaosi

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