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アーメンは99

99この画像は、ギリシャ数字の99で(アルファベット式ギリシャ数字」)、q みたいな文字は90、θ は9、それに、いまの活字本だと数字だってことがわかるように最後に「ʹ」をつける。90をあらわす文字は活字によってちがいがあるから、とりあえず3つあげといたけど、この文字は、ラテン文字の Q/q のもとになったふるいギリシャ文字で、名まえは κόππα [kóppa コッパ]っていう(ギリシャ語の文字と発音:Ϙ, Ϟ, Ϟ」)。

で、キリスト教関係のギリシャ語のパピルスには、文章の最後にギリシャ数字で99ってかいてあるのがある。ただし、むかしの写本だと「ʹ」とはちがう記号がついてたり、なんにもついてなかったりする。

キリスト教のもので文章の最後にでてきそうなことばっていえば、なんていってもアーメンだろう。ってことで、この99もやっぱりアーメンをあらわしてる。どうして99かっていうと、アーメンをギリシャ文字でかいて、それをギリシャ数字としてよんで、その数字を全部たしあわせると99になるからだ。

アーメンをギリシャ語でかくと ΑΜΗΝ/ἀμήν になる。これを古典式によめば[amɛ̌ːn アメーン]だけど、このことばがキリスト教用語としてとりいれられたときにはもう発音は古典時代とはかわってたわけだから、古典式によむのはおかしいかもしれない。現代ギリシャ語だと[aˈmin アミン]って発音する。で、これを数字としてよめば、Α/α が1、Μ/μ が40、Η/η が8、Ν/ν が50だから、1+40+8+50=99 で、アーメンの数は99ってことになる。

アーメンはもともとヘブライ語の אמן ʼāmēn [アーメーン]で、「たしかに、ほんとうに、そうなりますように」っていう意味だ。アーメンがギリシャ語だとかいうはなしがあるみたいだけど、どういう意味でいってるんだろ。アーメンがもともとヘブライ語でも、外来語としてギリシャ語のなかでつかわれてるんだからギリシャ語だっていってるんだとしても、それだったら、英語とかドイツ語とかイタリア語とかでもつかわれてるんだから、英語ともドイツ語ともイタリア語ともいえることになっちゃうし、日本語のなかでだって外来語としてつかわれてるんだから、日本語だっていうこともできる。もっとも、「アミン」がギリシャ語だっていうんならわからなくもない(ロシア語ともいえるけど)。

アーメンがもともと外国語だってことがあらわれてる例がある。それは99のまえにギリシャ語で γένοιτοɡénoito ゲノイト]ってかいてあるパピルスで、これはヘブライ語の אמן [アーメーン]を訳したものだから、おんなじ意味のことばをかさねてることになる。日本語でいえば「そうなりますように、アーメン」ってことだ。アーメンだけじゃ外国語だから意味がわかんないっていうか実感がないっていうかそんな感じだから、訳したことばもつけたんじゃないのかな(γένοιτο [ゲノイト]は γίγνομαιɡíŋnomai ギク゚ノマイ](うまれる、おこる、なる、おこなわれる)の希求法・第2アオリスト・3人称・単数)。

そういえば、ヘブライ語の原文が אמן [アーメーン]で、新共同訳でも「アーメン」って訳してるとこが、七十人訳(セプトゥアギンタ)っていうギリシャ語訳の旧約聖書で γένοιτο [ゲノイト]になってるとこがあったっけ。「申命記」の第27章第15節から第26節のとこなんかがそうだ。

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2006.11.02 kakikomi; 2011.08.09 kakitasi

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