« アーメンは99 | トップページ | 光文社ペーパーバックス(Kobunsha Paperbacks) »

トランペットの語源

TBSの「世界ふしぎ発見」でモーツァルトのことをやってた回があったんだけど(2006.10.28)、そこで、トランペットの語源が、貝って意味のギリシャ語「ストロンボス」だとかいってた。でも、これっておかしくないか? 語源ははっきりしないこともおおいから、こういう説もあるのかな。

ギリシャ語の「ストロンボス」は στρόμβος [strómbos]で、「こま、つむじ風、まき貝(の殻)」って意味だ。まき貝から、ホラ貝みたいなラッパって意味になってもおかしくはないし、trumpet に「ホラ貝」って意味もある。ただそれにしても、strombos が trumpet になったとすると、最初の s がなくなってるわけで、これがひっかかる。

もともとの英語の単語で str- ではじまるものは strong とかたくさんあるし、ギリシャ語起源で str- ではじまってる英語の単語だって strategy とかいろいろある。それなのに、なんで trumpet は s がとれちゃってるわけ?

trumpet の語源のよくある説明としては(っていうか、ほかの説明があるなんてしらないんだけど)、英語にはフランス語からはいって、さらにそのもとはゲルマン語だっていわれてる。そのフランス語は trompe [トロンプ](ラッパ)で、これが英語の trump になった。この単語もいちおう「ラッパ」って意味で英語にのこってるけど、これに語尾がついたのが trumpet だ。

もとになったゲルマン語は trumpa とか trumba で、擬音語らしい。これがフランス語の trompe とかイタリア語の tromba [トロンバ](ラッパ、トランペット)になった。ゲルマン語そのものとしては、ドイツ語の Trommel [トロメル](太鼓、ドラム)とかになってて、こっちの意味としては、オランダ語から英語にはいった drum っていうのもある。

ドイツ語でトランペットは Trompete [トロンペーテ]っていうけど、これは英語とおんなじようにフランス語からはいった。もとはゲルマン語の単語なのに、ゲルマン語派の英語もドイツ語も「トランペット」はフランス語から逆輸入してるんだな。

こういうよくある説明からすれば trumpet は貝って意味とはもともと関係ないことになる。英語の trumpet に「ホラ貝」って意味があるのだって、ホラ貝のことを trumpet shell (ラッパ貝)っていうことから、これをみじかく trumpet っていうようになっただけで、語源が貝だからってわけじゃないだろう。つまり、貝からラッパになったんじゃなくて、ホラ貝をラッパにたとえただけだ。

で、「ストロンボス」が語源だとすると、やっぱり s がきえちゃうとこがおかしいとおもうし、こういう説があるとしても、それはちょっとちがうとおもうんだけど。

関連記事
 ・エフェソス遺跡の碑文
 ・ギリシャ語の歯

2006.11.08 kakikomi; 2009.05.05 kakinaosi

|

« アーメンは99 | トップページ | 光文社ペーパーバックス(Kobunsha Paperbacks) »