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ギリシャ語のバラ

「薔薇」の読み」のコメントに現代ギリシャ語のバラのことがでてきたから、それに関連してちょっとかくことにする。

現代ギリシャ語でバラのことは τριαντάφυλλο [trianˈdafilo トリアンダーフィロ]っていうんだけど、これは τριάντα [triˈanda トリアンダ](30)+φύλλο [ˈfilo フィーロ](葉っぱ、花びら)で、「花びらが30枚あるもの」っていう意味のことばだ。なんで30枚なのかわかんないけど、それはそれとして、こういうちょっとながったらしい説明的なことばじゃなくて、古代以来の ρόδο [ˈroðo ローゾ]っていうのもあることはある。でも、ふつうは τριαντάφυλλο のほうをつかう。

古典ギリシャ語(古代ギリシャ語)でバラっていえば ῥόδονódon ロドン]で、これが現代語にもいちおうのこって ρόδο [ローゾ]になったわけだけど、このことばでおもいだすのは、ロドス島(Ῥόδοςódos])だ。「バラの島」ってことらしい。

この ῥόδον [ロドン]は、英語の rose、ドイツ語の Rose [ローゼ]、ラテン語の rosa [ロサ]なんかと語源がおんなじで(英語とドイツ語のバラはラテン語がもと)、その語源はインド・ヨーロッパ祖語の *wdho- (トゲのあるひくい木)だろうっていわれてる。

日本語の「ばら」は「うばら」がみじかくなったもので、「うばら」は「いばら」のふるいかたち、トゲのあるひくい木のことだ。「うばら」「いばら」にふくまれてる「はら」は「針」で(「はら」と「はり」は最後の母音がちがうだけ)、「うばら」「いばら」には木のトゲって意味もある。で、この語源説がただしければ、西洋語のバラと日本語のバラはもとからおんなじような意味だったことになる。

バラにはいろんな種類があるけど、ギリシャの古典にでてくるので ῥόδον ἑκατοντάφυλλονódon hekatontápʰyllon ロドン ヘカトンタピュッロン](花びらが100枚あるバラ)っていうのがある。これはセイヨウバラのことで、八重ざきだからこういうよび名がついたんだろう。学名はラテン語で Rosa centifolia [ロサ ケンティフォリア/ロザ センティフォリア(チェンティフォリア)]で、centifolia (花びらが100枚ある)はギリシャ語の ἑκατοντάφυλλον とおんなじことだ。英語だと cabbage rose っていって、八重ざきの花をキャベツにたとえてる。で、ἑκατοντάφυλλον (花びらが100枚ある)っていうのは、現代ギリシャ語のバラ τριαντάφυλλο (花びらが30枚ある[もの])とよくにたいいかただけど、この数のちがいはなんなんだろ。

そういえば、バラのなかには八重ざきじゃないのもあるわけで、そういう花びらが5枚のバラなんかのこともいまのギリシャ語じゃ τριαντάφυλλο ってことになるのかな。

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2006.12.13 kakikomi; 2017.05.21 kakitasi

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