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クンダリニーとチャクラ

クンダリニーってことばを最初に本でみたときは「クンダリーニ」ってかいてあった。そのあと「クンダリニー」っていうのもみるようになって、いったいどっちがほんとなんだろうって疑問におもってたこともあったけど、もともとのサンスクリット語からすれば「クンダリニー」のほうがただしい。

サンスクリット語の कुण्डलिनी kuṇḍalinī [クンダリニー]は कुण्डलिन् kuṇḍalin [クンダリン]っていう形容詞の女性形で、この形容詞は कुण्डल kuṇḍala [クンダラ](輪、耳輪、腕輪、らせん、ひとまき)っていう名詞に इन् -in [イン]って語尾がついてできてるんだけど、意味は「耳輪をつけた、輪のかたちをした、まかれた、とぐろをまいた」ってことだ。男性名詞 कुण्डली kuṇḍalī [クンダリー]としては「ヘビ」って意味にもなる。

で、クンダリニーは女性名詞として「女神ドゥルガーのすがたのひとつ、シャクティ」とか、いちばん下のチャクラにヘビみたいにとぐろをまいてねむってるある種のエネルギーのことをいうんだけど、これを「クンダリーニ」なんてかいてある本がけっこうあるわけで、これはなんでかっていうと要するに英語よみだろう。

おもしろいことに kundalini の英語の発音は『ランダムハウス英和大辞典』の第1版だと[kúndəlini]、第2版だと[kùndəːni]で、『研究社 新英和大辞典』も第5版と第6版でおんなじようなちがいがある。つまりどっちもふるいほうは[クンダリニ]で、あたらしいほうは[クンダリーニ]になってる。おしまいの母音の[i]はカタカナだと「イー」になることもおおいし、じっさいちょっとながめだったりすから、それぞれ[クンダリニー][クンダリーニー]だともいえるけど、とにかく辞書にのせる発音としては、もともとはサンスクリット語(またはヒンディー語)にちかい[kúndəlini]だったのに、[kùndəːni]って発音がひろまってるもんだから、あたらしい版のほうはそっちにしたってことなんだろう。

精神世界関係の本なんて翻訳ものは英語からのものがほとんどだから(この分野にかぎらないか)、もととも英語じゃない用語なのに英語よみになってるのがよくある。でもサンスクリット語の用語をなんで英語よみのカタカナにしなきゃいけないんだ。翻訳するとき英語よみですませちゃって、もともとの発音なんてしらべないもんなのかな(雑誌「Yogini」」)。

ついでにチャクラのこともかいておきたい。サンスクリット語の चक्र cakra [チャックラ]は「車輪、円盤」っていう意味のことばで、これが、目にみえない人間のべつのからだにそなわってるある種の器官のことをさすのにもつかわれる。円盤みたいな、ハスの花みたいなイメージでいわれてることがおおい。

ふつうチャクラは7つあって、それぞれ名前がついてるけど、そのカタカナがきもやっぱりちょっとテキトーなのが目につく。とくに、英語の文章から訳してて、いいかげんに英語の発音をうつしてるようなものがよくある。それに英語の文章のなかでサンスクリット語の用語を英語のアルファベットでかくとき記号を省略することがよくあるから、それをそのまんま記号なしの発音でよんじゃって不正確なよみになってるのもある。

そこで、とりあえずチャクラの名前とことばの意味だけ、からだの上のほうから順にあげとくことにする。

सहस्रारचक्र sahasrāra-cakra
サハスラーラ・チャクラ
「千の輻[や](=花びら)をもつ輪」

आज्ञाचक्र ājñā-cakra
アージュニャー・チャクラ
「(師匠の)命令〔教勅〕の輪」

विशुद्धचक्र viśuddha-cakra
ビシュッダ〔ヴィシュッダ〕・チャクラ
「清浄な輪」

अनाहतचक्र anāhata-cakra
アナーハタ・チャクラ
「うたれないで音を発する輪」

मणिपूरचक्र maipūra-cakra
マニプーラ・チャクラ
「宝石にみちた輪」

स्वाधिष्ठानचक्र svādhiṣṭhāna-cakra
スワーディシュターナ〔スヴァーディシュターナ〕・チャクラ
「自分の場所の輪」

मूलाधारचक्र mūlādhāra-cakra
ムーラーダーラ・チャクラ
「根底をささえる輪」

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2007.05.24 kakikomi; 2015.10.01 kakinaosi

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