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鼻にぬける「tn」「dn」と「つ」の発音

英語の kitten、written、cotton、sudden、redden なんていう単語の最後の音節は、[ə]がちょっと はいりこむことがないこともないけど、たいていは[t]と[n]、[d]と[n]のあいだに母音はないから、ふたつの子音が直接つながって独特の発音になる。それにこのばあいの[n]は音節主音になって母音みたいなものになる。

独特の発音になるのは[t][d]が口のそとにむかって破裂しないからだ。[t]から[n]、[d]から[n]にうつってくときには舌の位置がどっちもおんなじだから舌さきはうごかない。うごかないから舌のほうからは息がでない。息は鼻にぬける。こういうのを「鼻こう開放(nasal release)」っていってる。

[tn]が独特の発音っていったけど、この発音はじつは日本語にもある。っていっても古典芸能のはなしで、たぶんむかしの発音をのこしてるんだろう。

声明[しょうみょう]とか平曲とか謡曲(能)にノム音っていうのがあって、それがこの発音だ。「口がい帆の内破音」なんていったりするけど、要するに[tn]の発音だろう。漢字の音よみで「つ」でおわってるのがその発音になる。たとえば、「明月[めいげつ]」とか「三密[さんみつ]」の「つ」をのみこむような鼻にぬける音で発音する。

鼻こう開放:鼻腔解放。 口がい帆:口蓋帆。

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2007.11.26 kakikomi

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