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「&」のはなし

& の名まえは英語で ampersand (アンパサンド/アンパーサンド)っていうけど、これは and per se and がちぢまってひとつになったものだ。per se [ペル セー](それ自体で)はラテン語で、英語よみだと[パー セイ]になる。全体の意味は直訳すると「and それ自体で and」だけど、要するに「& という記号そのものが and である(あらわしている)」ってことだろう。

こういうふうに & の英語の名まえにも and がはいってるし、英語としてはとうぜん and ってよむし、日本語のなかにでてきてもやっぱり「アンド」ってよむだろうから、& イコール and っていうのが、まあ、常識みたいなもんだろう。でも、ほんとは & イコール and じゃない。

& はラテン語の ET の合成文字だ。E と T がくっついて & になるっていうのはちょっとわかりにくいかもしれないけど、& には活字とかフォントによってちがうかたちもあって、いかにも ET だっていうのがあるから、それをみればそのへんのことがわかりやすいだろう。

et

ラテン語の et [エト](そして、と)は英語の and にあたることばだから、英語で and をあらわす記号として & をつかうようになったわけだけど、ほかのことばのなかでつかわれたら、そのばあいはとうぜん and とはよまない。

たとえばドイツ語なら & を und [ウント]ってよむ。ただしドイツ語はこの記号をそれほどつかわない。たいてい und の略の u. がつかわれる。& はひとの名まえからできてる ふるい会社名につかわれてることがおおい。たとえば世界でいちばんふるい音楽出版社はブライトコップ・ウント・ヘルテル社っていうんだけど、ドイツ語でかけば Breitkopf & Härtel で、創業者と途中からくわわったひとの名まえを & でつないで会社名にしてる。それとか Bote & Bock [ボーテ ウント ボック]っていう音楽出版社もある。

この記号のドイツ語の名まえはいくつかあって、そのひとつは Et-Zeichen [エト・ツァイヒェン](エト記号)っていうんだけど、もともとがラテン語の et だったんだから当然だろう。それでもドイツ語としては und ってよむわけだから Und-Zeichen [ウント・ツァイヒェン](ウント記号)ともいうし、会社名につかわれてることがおおいから Firmenzeichen [フィルメン・ツァイヒェン](会社記号)っていうこともある。

ところで etc. っていう略語があるけど、これはラテン語の et cetera [エト ケーテラ]の略だ。よくエトセトラっていってるけど、これは英語よみだ。cetera は ceterus [ケーテルス](そのほかの、それ以外の)って形容詞の中性・複数。et cetera で「以下このように、など、うんぬん」って意味になる。英語の文章のなかにでてくればとうぜん英語よみになるけど、and so forth、and so on っていうふうに おんなじ意味の英語でよむこともある。

et cetera の略としては etc. のほかに &c. っていうのもある。この略しかたは & イコール and っておもってたら わけがわかんないけど、& がもともと et だったってことからすれば、べつふしぎでもないだろう。

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2008.01.04 kakikomi

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