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アカデミー

アカデミーっていうと、学士院みたいな学界の最高機関のことだったり、芸術院だったり、教育機関のことだったり、いろんな意味でつかわれてる。「学院」って訳すとちょうどいいばあいがおおいだろう。学士院みたいなアカデミーは17世紀から18世紀の西洋諸国ではじまって、教育機関のアカデミーのほうはルネッサンス時代のイタリアで貴族がはじめたらしい。それからフランスの大学区もアカデミーっていってる。

日本語のアカデミーのもとになったのは英語の academy だろう。ただしフランス語の académie [アカデミ]とドイツ語の Akademie [アカデミー]もカタカナにしたら「アカデミー」でおかしくないから、そっちって可能性もあるかもれしない。

英語の academy はラテン語からはいった外来語だけど、そのラテン語の academia [アカデーミーア]が変化して、フランス語の académie [アカデミ]とかイタリア語の accademia [アッカデーミア]になった。それからドイツ語の Akademie [アカデミー]はフランス語からはいった。

ラテン語の academia [アカデーミーア]のもとはギリシャ語の Ἀκαδήμεια [akadɛ̌ːmeːa アカデーメ~ア]または Ἀκαδημία [akadɛːmíaː アカデーミアー]で、これはもともと英雄 Ἀκάδημος [akádɛːmos アカデーモス]または Ἑκάδημος [hekádɛːmos ヘカデーモス]にちなんで名づけられた体育場(ギュムナシオン)のある一種の公園(聖域、神苑)のことだ。ここにアカデーモスの墓があったからアカデーメイアって名まえになった。場所はアテネの北西のほう、ディピュロン門(δίπυλον [dípylon]:「ふたつの門がある」って意味)から1.5キロぐらいのとこで、ここからさらにすこしすすむとケーピーソス川(Κηφισός [kɛːpʰiːsós])にぶつかる。

プラトーンがアカデーメイアのちかくに自宅をもうけて、この公園で学校をひらいた(有力な説でいうと、紀元前387年、プラトーンが40才のとき)。それでプラトーンの学園の名まえもアカデーメイアになって、プラトーン学派のこともアカデーメイア学派っていうようになったんだけど、この学園アカデーメイアは紀元529年にユスティニアヌス帝に閉鎖されるまで900年ちょっとつづいた。アカデミーが「学院」の意味でつかわれるのはこのプラトーンの学園がもとになってる。

現代ギリシャ語でも ακαδημία [akaðiˈmia アカズィミーア]は英語の academy とかとおんなじようにつかわれてる。

そういえば Academy って名のってるイギリスの演奏団体があったっけ。Academy of Ancient Music (エンシェント室内管弦楽団)と Academy of St Martin in the Fields (アカデミー室内管弦楽団)だけど(アカデミー室内管弦楽団はもともとは Academy of St. Martin-in-the-Fields っていうつづりだったのが、1988年にハイフンをとった)、どっちも日本語訳がおかしい。でもまあそれはそれとして、この Academy のつかいかただけど、18世紀のロンドンでさかんだった Academy を名のる演奏団体の名まえをもとにしてる。とくに Academy of Ancient Music のほうは1726年にできた団体の名まえをそのまんまつかってる。

芸術院とか音楽院っていうのはべつとして、音楽に関係するつかいかたはこの英語以外にもある。ドイツ語の Akademie にはふるい意味で「(18、19世紀の)演奏会」っていうのがあって、たとえば1784年から1786年にモーツァルトがウィーンでやってた予約演奏会はアカデミーっていってたし、オーストリアのドイツ語で「文芸・音楽のつどい」って意味もある。それからイタリア語の accademia にも音楽会とかの「催し物」って意味がある。

アカデーモス:アカデモス。 アカデーメイア:アカデメイア。 ケーピーソス:ケーフィーソス、ケピソス、ケフィソス。 プラトーン:プラトン。

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2008.02.01 kakikomi; 2017.05.23 kakitasi

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