« アカデミー | トップページ | 番組はじめの名のり「わたしが…」 »

シンポジウム

シンポジウムっていうのは簡単にいえば公開討論会のことだけど、この日本語のもとは英語の symposium [スィンポウズィアム]なのかな。でもそれだったら「シンポジアム」になってるような…。

symposium は語尾が -um でおわってて、いかにもラテン語のかたちをしてるのに、y があるのはギリシャ語っぽい。英語にはラテン語からはいったんだけど、つづりとしてはラテン語そのまんまで、それを英語よみしてるだけだ。それからラテン語の symposium [スュンポスィウム]のもとはギリシャ語の συμπόσιον [sympósion スュンポスィオン]で、ラテン語になってギリシャ語の中性名詞の語尾 -ον [on]がラテン語の中性名詞の語尾 -um にかわってる。

ギリシャ語の συμπόσιον [スュンポスィオン]はもともと「いっしょにのむこと」って意味で「供宴、酒宴、宴会」とか訳す。むかしのギリシャで食事のあとにおこなわれた宴会のことで、酒をのんで音楽をたのしみながら議論をした。これをタイトルにしたプラトーンの『饗宴』って作品がある。古代ギリシャの供宴のイメージとしてはこの作品の影響がおおきいだろう。

現代ギリシャ語の συμπόσιο [スィンボースィオ]は「宴会」の意味も「シンポジウム」の意味もある。

ラテン語からはドイツ語にもはいって Symposium [ズュンポ(ー)ズィウム]っていうけど、ギリシャ語のかたちの Symposion [ズュンポ(ー)ズィオン]もつかわれてる。このふたつは複数形になるとどっちも Symposien [ズュンポ(ー)ズィエン]だから、複数形をみただけじゃ単数形がどっちなのか区別がつかない。

ラテン語が変化してできたイタリア語とフランス語をみてみると、イタリア語には simposio [スィンポーズィオ/スィンポースィオ]があって、これはラテン語がそのまんま変化したものだろう。フランス語のほうには symposion [サンポズィヨン]と symposium [サンポズィヨム]があって、それぞれのつづりは symposion がギリシャ語のかたちで symposium がラテン語のかたちだ。ラテン語から直接ひきついだ単語ならこういうかたちはしてないはずだから、どっちも外来語としてあらためてとりいれたものだろう。こういうふうにラテン語からはいった単語のばあい、単語のおわりの -um は[ɔm]って発音する。ラテン語のフランス式発音とおんなじだ。

日本語のシンポジウムには「古代ギリシャの供宴」の意味はないとおもうけど、上にあげたヨーロッパ語にはみんな「シンポジウム」の意味も「供宴」の意味もある。

ところでラテン語の symposium を古典式じゃなくてローマ式でよんだら[スィンポズィウム]になる。中世の発音もにたようなもんだろうけど、とにかくこのあたりが日本語のシンポジウムにいちばんちかい。ただそうだとしても、これが日本語のシンポジウムのもとだっていうのはちょっとちがうかな。英語の symposium をローマ字よみをまぜてよんじゃったっていうのがいちばんありそうな気がするけど、どうなんだろ。

プラトーン:プラトン。

2008.02.04 kakikomi; 2010.09.13 kakinaosi

|

« アカデミー | トップページ | 番組はじめの名のり「わたしが…」 »