マスク“ド”ライダー(仮面ライダー)
―― 英語の過去・過去分詞
仮面ライダーは英語でも Kamen Rider でいいみたいだけど、訳せば Masked Rider になるらしい。最近のシリーズでもこのことばをつかってたのがあったみたいなんだけど、なんとこれを「マスクドライダー」っていってたっていうんだから、ちょっとおどろいた。中学で ならわなかったのかな…。
Masked はカタカナでかけば「マスクト」になるはずだ。それが「マスクド」だもんね。「とったど~!」じゃあるまいし。
そういえば、これとおんなじようなのをほかにもみたことがある。「エンハンスドCD」なんていうのがそうだ。音楽CDにマルチメディア・コンテンツをくわえたものだけど、これは英語の enhanced CD で、これだってほんとは「エンハンスト」のはずだ。それとか「ハッシュド・ビーフ」なんていうのもある。これもほんとは「ハッシュト(hashed)」なのに。
過去・過去分詞をつくる語尾 -ed の発音には3つあって、-ed がつく単語の最後の音によってちがってくる。
- /t/ か /d/ のあとなら /ɪd/
- /d/ 以外の有声音(有声子音か母音)のあとなら /d/
- /t/ 以外の無声音(無声子音)のあとなら /t/
なんでこうなるかっていうと、このほうが発音しやすいからだ。
mask は /k/、enhance は /s/、hash は /ʃ/ でそれぞれおわってて、これはみんな無声子音だから -ed の発音は /t/ になる。
シンクロナイズド・スイミングだったら、synchronize は /z/ でおわってて、これは有声子音だから、-ed の発音は /d/ になるわけで、「シンクロナイズド」っていうのはおかしくない。
ちなみに、/t/ と /d/ 以外につくときは e は発音しないわけだけど、むかしはこの発音しない e をアポストロフィーをつかって省略してたことがある。つまり look'd ってかいてた。18世紀の文章なんかをみると そういうつづりがでてくる。
有声音と無声音については「英語の複数形・三単現・所有格の「s」の発音―― 無声音と有声音」を参照してもらうとして、そのページで最後にまとめたみたいなカタカナをつかったやりかたで過去・過去分詞の発音をまとめるとこうなる。
- 「ト/t/、ド/d/」のあとなら「エド/ɪd/」
- 「ク/k/、ス/s/、ス/θ/(th)、シュ(シ)/ʃ/、チュ(チ)/tʃ/、フ/f/、プ/p/」のあとなら「ト/t/」
- それ以外は「ド/d/」
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・『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』の「ブレスド」
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2009.02.09 kakikomi; 2011.08.02 kakinaosi
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