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「まえより語(enclitic)」「あとより語(proclitic)」

ギリシャ語には英語で enclitic、proclitic っていわれる種類の単語があって、この用語の翻訳語としては いくつかあるなかで「前接語」「後接語」がいいんじゃないかってことをまえにかいたことがある(ギリシャ語の動詞の「後退的」アクセントと「後倚辞」「前倚辞」」)。

ところが最近、『クロアチア語ハンドブック』(三谷惠子著、大学書林)っていう本で、enclitic を「前より辞」、proclitic を「後(あと)より辞」って訳してるのをみつけた。「まえ」「うしろ」の関係は「後倚辞」「前倚辞」みたいな直訳じゃなくて、「前接語/前接辞」「後接語/後接辞」とおんなじことになってるから、「後倚」「前倚」を訓よみして、「まえ」「うしろ」を逆にしてつくった用語なんだろう。

「前接語」「後接語」って用語のことをかんがえたときは、「まえ」「うしろ」のことと、「倚」っていう ふだんあんまりみかけない漢字のことに気をとられてたけど、こういうやりかたもあったんだな。

ただし、「前接辞」じゃなくて「前接語」のほうがいいっておもうのとおんなじで、これも「前より語」「後より語」にしたほうがいいとおもうから、そうしたうえで、これからは enclitic、proclitic の翻訳語としてはこれをつかいたいとおもう。まえにかいた記事もこの用語になおした。

ちなみに、文字づかいについていうと、「後」は「あと」とも「うしろ」ともよむし、「あと」ってよむ漢字には常用漢字表のなかだけでも「後」と「跡」があるから、「あと」には漢字をあてないことにしてる。だから「あとより語」ってかくことになる。これとの対応で、もうひとつのほうも「まえより語」にする。

そういえば、『クロアチア語ハンドブック』で最初に「後より辞」って用語がでてくるとこには、「後」のあとにカッコにいれて「あと」ってよみがかいてあったっけ。やっぱり「後」をどうよむか まぎらわしいからだろう。

こういうふうに、どうよんだらいいか まぎらわしいばあいは、ふりがなでもふればすむことだっておもうひともいるだろうけど、ふりがなをふってまで漢字をつかわなきゃいけないとはおもわないから、ふりがなをふらなきゃいけないようなばあいはなるべく漢字をつかわないことにしてる。その点からも「あと」には漢字をあてない。

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2009.03.09 kakikomi

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