« アダムは東西南北 | トップページ | 『ラテン語小文典』
(附 ギリシア語要約およびラテン・ギリシア造語法) »

「チューブ(tube)」の意味

チューブっていったら最近じゃ YouTube のことをおもいうかべるひともおおいかもしれない。このばあいの tube はテレビのことで、もともとブラウン管のことを tube っていってたのが、アメリカのくだけたいいかたでテレビのことにもなった。だから YouTube は「あなたが放送するテレビ」みたいなことなんだろう。

イギリスのくだけたいいかただとテレビのことは box っていって、tube っていうと(ロンドンの)地下鉄のことになる。なんで tube が地下鉄かっていうと、地下鉄のトンネルのことを tube っていうからだ。

こういうふうに tube ってことばはけっこういろんなものをさすのにつかわれてて、英和辞典なんかをみてても tube にはいろんな意味があるって感じがするだろう。でも、そうじゃない説明もできる。っていうか、英語そのものに即していえば、いろんな意味があるっていうのとはちがうんじゃないかな。このことは tube だけにかぎらない。英和辞典にいろんな翻訳語がのってる単語がたくさんあるけど、そういうのは英語としていろんな意味があるわけじゃないとおもう。

tube の基本的な意味は「くだ、筒」だ。これは外来語で、16世紀すえか17世紀はじめにラテン語かフランス語からはいった。フランス語はラテン語が変化したことばだから、フランス語だったとしても、さかのぼればラテン語の tubus [トゥブス](くだ)にいきつく。

tube には「くだ、筒」のほかに「ブラウン管」とか「テレビ」とか「トンネル」とか「地下鉄」とかの意味があるっていう説明はまちがってるとまではいえないだろうけど、ここではべつの説明をしてみたい。

tube の意味はあくまで「くだ、筒」で、ブラウン管(cathode-ray tube、略して CRT、訳せば 陰極線管)はようするに「くだ」の一種だから、それをただ「くだ」っていうようになった(cathode-ray tube を略してただ tube っていうようになった)。さらに、ブラウン管っていうテレビの一部分でテレビそのものを代表させて、テレビのことも「くだ」っていうようになったわけで、tube に「テレビ」っていう意味があるんじゃなくて、テレビのことを「くだ」っていってるだけだとおもう。

「地下鉄」っていう 意味 にしても、これとおんなじことだろう。そもそも「トンネル」って 意味 だって、そういう意味があるっていうより、トンネルのことを「くだ」っていってるだけのことだし、地下鉄はその「くだ」のなかをはしってるから、それで地下鉄を代表させて、地下鉄のことも「くだ」っていうようになったわけだ。だから tube に「地下鉄」って意味があるっていうより、地下鉄のことを「くだ」っていってるだけのはなしだろう。

tube の意味としては「くだ、筒」っていうのがあるだけで、あとは、なにをさして「くだ」っていってるかのちがいだけだとおもう。

2009.07.08 kakikomi

|

« アダムは東西南北 | トップページ | 『ラテン語小文典』
(附 ギリシア語要約およびラテン・ギリシア造語法) »