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エコの語源

いまさかんにつかわれてるエコはエコロジー(生態学、生態系、生態環境)を略したものだけど、エコロジーはドイツの生物学者・哲学者エルンスト・ヘッケル(Ernst Heinrich Philipp August Haeckel、1834-1919)がつくりだしたことばで、まず1866年にでた『一般形態学』でつかわれた。

この本のエコロジーのつづりは Oecologie で、いまのドイツ語なら Ökologie になる。発音は[ʔøkoloˈɡiː エコロギー]。当時も ö (オー・ウムラウト)はつかわれてたけど、大文字のときは印刷で文字の上に記号がつけられなかった関係で、Ö じゃなくて Oe になってるんだろう。それと このばあいの c は19世紀にはつかわれてたけど、20世紀はじめからは k をつかうようになった。

Oecologie はエコノミーをまねしてつくったことばで、ギリシャ語の οἶκος [ôikos オイコス](すみか、家)に -λογία [loɡíaː ロギアー](かたること、論じること、論、学)をくっつけたものだ。οἶκος の語幹 οἰκο--λογίαοἰκολογία [oikoloɡíaː オイコロギアー]ができる。

このギリシャ語のまんまだと西洋語としてはつかえないから、これをラテン語のかたちにうつす必要がある。ギリシャ語の二重母音 οι はラテン語の二重母音 oe にあたるものだから、この単語をラテン語にすると oecologia になる(古典式でよめば[オエコロギア]、ローマ式なら[エコロジア])。で、これをドイツ語にすると Oecologie/Ökologie になる。

日本語のエコロジーは英語の ecology がもとだけど、英語でこのことばが最初につかわれたのはヘッケルの本の翻訳(1873年)で、œcology ってつづられてる。このあと Oekology とか Œcology っていう用例もあるらしいけど、いまはたいてい ecology だろう。oecology がないわけでもないみたいだけど。

ラテン語の oe はそのうち e とおんなじ発音になったから(ドイツ式の発音だと e とおんなじじゃなくてドイツ語の ö とおんなじになるけど)、oe のかわりに e ってかくようにもなった。英語としても、ラテン語起源の oe は e とおんなじ発音だから([イー]か[エ])、固有名詞以外はいまは e ってかくことがおおい。

2009.11.05 kakikomi; 2014.06.22 kakinaosi

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