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KARA とギリシャ語

いろんなものの由来を紹介するテレビ番組で、韓国の女性グループ KARA の名まえがギリシャ語の「よろこび」っていう意味のことばをかけてるっていう説明があったから、公式サイトをみてみたら、

リーダーのギュリが命名したグループ名「KARA(카라、カラ)」とは、「甘いメロディー」という意味を持つ言葉。
これに、ギリシャ語の「CHARA(喜び)」を重ねて、「KARA の音楽を通じて、喜びを与えたい」という気持ちが込められている。

ってかいてあった。

ここでいわれてるギリシャ語の「CHARA」っていうのは χαρά のことで(大文字でかけば ΧΑΡΑ)、発音は、古代語なら[kʰarǎː カラー]、現代語なら[xaˈra ハラ]になる。

意味は「よろこび、うれしさ、たのしさ」で、現代語のあいさつのことばにもでてくる。「ごきげんいかがですか」ってきかれたときのこたえで「とても元気です」っていう意味のいいかたに μια χαρά [mĭa xaˈra ミャ ハラ]っていうのがある。

で、それはいいんだけど、グループ名が KARA っていうつづりだから、それがちょっとひっかかった。朝鮮語には古代のギリシャ語みたいな有気音と無気音の区別がある(朝鮮語文法の用語でいうと「激音」と「平音」)。この K が無気音(平音)のほうをあらわしてるんなら、古代ギリシャ語の χαρά (ローマ字にすれば charā か kharā)とはちがってるっておもったんだけど、そうじゃないらしい。

ハングル文字の 카 は[kʰa]をあらわしてる。だから、この名まえはローマ字で KHARA ってかいてもおかしくない。でも、2000年7月4日に韓国の文化観光部が発表したローマ字がきの改訂版によると、激音の 카 は ka ってかくことになってるらしい(平音のほうは ga)。朝鮮語のローマ字にもいろいろあるみたいだけど、このやりかただと k は中国のローマ字(拼音ほうおん pīnyīn[ピンイン])とおんなじで有気音をあらわしてるわけだ。

そういうことなら、KARA の K は有気音なわけだから、ギリシャ語のχαρά をかけたっていうのは、古代ギリシャ語の発音からするとちょうどいいわけだ。

ただ、ギリシャ語のことはそれでいいとして、朝鮮語の KARA に「甘いメロディー」っていう意味がほんとにあるのかどうかはわからない。なんかそのへんのことが問題になってるらしくて、韓国人の本人がいってるみたいだから、そうなんだろうとおもうけど、韓国のファンのあいだでも問題になってるとすると、そんな意味はないのかな。公式サイトの説明だと、ギリシャ語に「甘いメロディー」って意味があるとはいってないし、それはそのとおりだ。

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2011.03.21 kakikomi; 2012.06.10 kakitasi

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