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ネパール語とマラーティー語の「まつ毛のラ」

ネパール語とマラーティー語は、サンスクリット語とかヒンディー語とかおんなじデーバナーガリー文字でかくんだけど、サンスクリット語とヒンディー語にはない結合文字がある。

र्य r.ya र्‍य rya子音のまえに r があると、その r をあらわす記号みたいなものが文字のうえにつく(上の画像の赤い部分)。この結合文字はサンスクリット語にもヒンディー語にもある。ところが、子音のまえの r をあらわす部分が文字の左側につく結合文字もあって(下の画像)、こっちはサンスクリット語にもヒンディー語にもない。

このふたつのちがいだけど、r がまえの音節に属するばあいは上の結合文字になる。ローマ字で r と y のあいだにピリオドをいれたのは、そこに音節のきれ目があることをあらわしてる。これに対して、下の結合文字の r は ya といっしょの音節になる。

デーバナーガリー文字とか梵字とかのインド系の文字は、母音のまえにある連続した子音を全部いっしょにしてひとつの結合文字にしちゃうから、アヌスワーラ(अनुस्वार anusvāra)とビサルガ(विसर्ग visarga)っていう記号がつくばあいをのぞいて、どの文字も母音でおわってる。でも、音節のきれ目は連続した子音の途中にあることがよくあるから、そのばあい音節のくぎりと文字のくぎりは一致しないことになる。

文字の左側につく r のことをネパール語で परेली रेफ pareli reph (まつ毛の R 字)とか परेली र pareli ra (まつ毛のラ)っていってるらしいんだけど、これはもちろん かたちがまつ毛に にてるからだろう。

Windows XP の「デバナガリ - INSCRIPT」のキーボード配列をみると(デーバナーガリー文字(サンスクリット語・ヒンディー語・ネパール語など)のキーボード配列」)、文字の上につく r のキーはあるのに、まつ毛のラを入力するキーがない。ヒンディー語のキーボードにないのはいいとして、「デバナガリ - INSCRIPT」はデーバナーガリー文字をつかうことばをひととおりあつかえるようになってるはずだから、ネパール語とマラーティー語に必要な結合文字をうちこめないはずはないんだけど。

で、いろいろしらべてみると、下に点をつけたラの字()のあとにビラーマ(विराम virāma)っていう子音だけをあらわすようにする記号をうつと、まつ毛のラになるらしいんだけど、やってみるとそうはならない。ただし、これは XP のばあいで、Windows 7 だと このやりかたでいいのかもしれない。XP と 7 で、まつ毛のラのあつかいがちがってるってはなしだから。

じゃあ、XP ならどうすればいいのかっていうと、ビラーマがついたラの字(र्)のあとに[Ctrl]+[Shift]+「1/ぬ」をうてばいい。そうすると まつ毛のラになる。ただし、これだけだとまだ r をあらわす部分だけだから、そのあとに結合文字の本体になる文字をつづけないと結合文字は完成しない。

それでも、OpenOffice.org の Writer はこの操作をうけつけなかった。まつ毛のラがもともと表示されてるものからコピペして はりつけることはできるんだけど、このやりかたで直接 入力はできない。

ちなみに、[Ctrl]+[Shift]+「1/ぬ」で入力されるのは ZERO WIDTH JOINER (ZWJ)っていう文字コードを操作する format character のひとつで、ユニコードの番号は U+200D。

デーバナーガリー文字:デーヴァナーガリー文字。

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 ・サンスクリット語の文字と発音(デーバナーガリー文字、梵字、ローマ字がき)

2011.04.20 kakikomi

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