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エジプシャン・マウ

ネコの品種にエジプシャン・マウ(Egyptian Mau)っていうのがある。

「マウ」はエジプト語でネコのことだって説明されてるけど、これにはちょっと問題が…。っていっても、まちがいっていうのとはちがうけど。

ここでエジプト語っていってるのは、もちろん いまのエジプトでつかわれてるアラビア語の方言のことじゃなくて、ヒエログリフでかいてある古代エジプト語のことだろうけど、古代エジプト語でネコのことを「マウ」っていったのかっていえば、厳密にいうとそうじゃないだろう。

mjw/mjw古代エジプト語のネコのことは「ヒエログリフのネコ」にかいた。この単語にはつづりがいくつかあって、ここにはふたつあげとくけど、今回は逆方向のかきかたにする(ヒエログリフは日本語みたいにタテにもヨコにもかけるし、それぞれ反対方向にもかける)。この単語をローマ字にうつせば mjw になって、どういう母音がついてたのかつづりからはわからないから、学者は便宜的に「ミウ」とか「メイウ」とかよんでる。

いまのやりかただとこういうふうに mjw ってかくんだけど、j のかわりに i の点をアポストロフィーのかたちにかえた記号をつかうこともある。ところが、これよりふるいやりかたで mȧu ってかいてたことがあった(a のうえに点がある)。E. A. Wallis Budge “Egyptian Language: Easy Lessons in Egyptian Hieroglyphics with Sign List” (Routledge & Kegan Paul/Dover)をみると このかきかたになってる。この本について『ヒエログリフ入門 ―古代エジプト文字への招待―』(吉成薫著、六興出版)では「古本屋等で良く見られるが,表記法などが古い」って説明してる。いまじゃ このやりかたはつかわれてない。

mȧu → mjw/mw

これでもうわかってもらえるとおもうけど、古代エジプト語のネコが「マウ」だっていうのは、このふるいやりかたがもとになってるわけだ。

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2011.08.01 kakikomi

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