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イタリア語の名まえ Ercole について

ギリシャ神話の英雄ヘーラクレースのことをイタリア語で Ercole っていうんだけど、バロック音楽関係の本をなん冊かよんだら、どれもこれもこの名まえが「エルコーレ」になってた。たとえばカバッリ(Cavalli)のオペラ《Ercole amante》は「恋するエルコーレ」って訳されてる(「恋するヘラクレス」にしてるのもあるけど)。うしろから2番めの音節にアクセントがあるっておもってるんだろう。でも、これはまちがいだ。

ヘーラクレースはラテン語で Hercules [ヘルクレース]っていって、対格は Herculem [ヘルクレン(ヘルクレム)]なんだけど、この Herculem がイタリア語の Ercole になった。ラテン語からイタリア語になるとき発音はかわってもアクセントの位置はほとんどもとのまんまだ。ラテン語のアクセントの規則からわかるように Herculem のアクセントは Her- にある。Ercole でもその位置にかわりはなくて Er- にアクセントがある。だからこの名まえの発音は[エルコーレ]じゃなくて[エルコレ]だ。

イタリア語のアクセントはうしろから2番めの音節にあることがおおいけど、うしろから3番めとか最後の音節にあることもある。3番めにアクセントがある単語はけっこうおおい。最後の音節にあるときはつづりにもアクセント記号がつくからまちがえることはないけど、うしろから3番めの音節にアクセントがあるばあいは、つづりからはわかんない。ラテン語にさかのぼれば一応わかるけど、いちいちそんなことはやってらんないだろう。

けっきょく辞書でたしかめればいいわけで、この名まえならとくにおおきな辞書じゃなくてものってる。でも、うしろから2番めの音節にアクセントがあるっていうのにとらわれてると、いちいち辞書でたしかめようって気にはなんないんだろう。だれかが「エルコーレ」ってかいて、なんかでたしかめないまんま、それがひきつがれることになったのかな。

カバッリ:カヴァッリ。

2012.02.27 kakikomi

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