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日本語で区別のない音は…

外国語で区別されてても日本語としては区別がない音がいくつかある。r と l、b と v なんかがそうだ。こういう音について、英語の参考書なんかにはおおげさに全然ちがう音なんだとか説明してることがあるけど、それはちょっとおかしいだろう。日本語の感覚ってことだけじゃなくて、客観的にも実際ににてる音だからこそ、日本語で区別がないなんてことがおこってるはずだ。

まず音の性質そのものからかんがえてみると、r と l はどっちも流音っていう分類になる。だから流音じゃない音にたいして、このふたつはにてるわけだし、発音される口とか舌の位置だってにてる。舌先を前歯かその上の歯茎のあたりにくっつけるか ちかづけるかして発音される。

b と v は閉鎖音と摩擦音っていうちがう分類になるけど、くちびるをつかって発音するとこは共通してる。

日本語の感覚だけじゃないってことは、r と l、b と v の区別がないことばが日本語以外にもあることからもわかる。たとえば、朝鮮語には r と l の区別はないし、スペイン語には b と v の区別はない。

それから歴史的な変化からもにてる音だってことがいえる。ラテン語で木のことは arbor [アルボル]っていうけど、これがイタリア語の albero [アルベロ]になった。ここでもともと r だったものが l にかわってるのがわかる。こういう変化がおこったのも実際ににてる音だからだろう。全然かけはなれた音にかわるなんてことはたぶんおこらないとおもう。

古代のギリシャ語で兄弟のことを ἀδελφός [adelpʰós アデルポス]っていって、これがそのまんま現代のギリシャ語にものこってて αδελφός [aðelˈfos アゼルフォス]っていうんだけど、現代語としては αδερφός [aðerˈfos アゼルフォス]っていうのもある。これもやっぱり l と r が実際ににてるからだろう。

英語の have にあたる動詞はドイツ語だと haben [ハーベン]で、love はドイツ語で lieben [リーベン]っていうけど、こういうふうに英語の v がドイツ語で b になってる単語がたくさんある。英語とドイツ語は共通の祖先からわかれたことばで、こういう対応がある単語はもともとおんなじことばだったわけだけど、それが v と b にわかれてるってことからしても、v と b がにてる音だってことがいえるだろう。

2012.03.22 kakikomi; 2017.06.29 kakinaosi

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