« ときどきみかけるギリシャ語じゃないギリシャ文字 | トップページ | ラテン語の学名のよみかた(の一例) »

タキサイキア

アクセス解析をみたら「タキサイキア ギリシャ語 スペル」っていうキーワードで検索してるひとがいた。タキサイキアなんてことばはしらなかったけど、この発音のまんまなら英語のはずでギリシャ語じゃない。っていっても、よくあるみたいにギリシャ語からつくった学術用語なんだろう。

検索してみると、2010年11月11日の「奇跡体験!アンビリバボー」(フジテレビ)でタキサイキア現象のことをやってたことがわかった。危険な状況におちいったときなんかに、まわりのできごとがスローモーションにみえる現象のことで、番組ではタキサイキアをギリシャ語で「頭の中の速度」を意味するって説明してたらしい(この意味がおかしいことについてはこのあと説明する)。

ギリシャ語からつくったことばでタキサイキアっていう英語の発音になるとすれば、つづりは tachypsychia だろうとおもって検索したら、たしかにこういう用語があった。ギリシャ語としてつづれば ταχυψυχία で、発音は古典式なら[takʰypsyːkʰíaː タキュプスューキアー]、現代語式なら[taçipsiˈçia タヒプスィヒーア]だ。

これが「頭の中の速度」の意味だっていうのはどうかとおもう。だいたい「頭の中の速度」っていうだけじゃ、その速度がまわりの世界より はやいのか おそいのかについて なんにもいってない。この用語がいいたいのは、あたまのなかの速度がまわりの世界よりはやいってことのはずだ。

tachypsychia を分解すれば tachy-psych-ia になって、このことばは ταχύς [takʰýs タキュス](はやい)と ψυχή [psyːkʰɛ̌ː プスューケー](たましい)をつなげて(発音は古典式)、抽象名詞の語尾 -ία をつけたものだ。「たましいがはやいこと、精神のはたらきがはやいこと」っていう意味になる。

2012.06.09 kakikomi

|

« ときどきみかけるギリシャ語じゃないギリシャ文字 | トップページ | ラテン語の学名のよみかた(の一例) »