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カモミールは大地のリンゴ

カモミールはもともとギリシャ語で「大地のリンゴ」っていう意味で、リンゴみたいな香りがするかららしい(ジャーマン種は花が、ローマン種は全体がリンゴの香りがする)。

もとのギリシャ語は χαμαίμηλον [kʰamǎimɛːlon カマイメーロン]で、χαμαί [kʰamǎi](地上に、地面に)と μῆλον [mɛ̂ːlon](リンゴ)からできてる。

これがラテン語で chamaemelon [カマエメーロン]ってうつされて、時代がくだると chamomilla になって、さらに camomilla になった。このラテン語がフランス語になったものが英語にはいったんだけど、英語には camomile のほかに chamomile っていうつづりもあるから、それだと /k/ ってよむ ch があってギリシャ語起源だっていうのがわかりやすい。

カモミールは日本語でカミツレともいって、このもとはオランダ語の kamille [カミレ]なんだけど、なんで「ツ」がはいっちゃったのかなってことで、すぐおもいついたのが、kamille っていうつづりから発音をうつして「カミッレ」にしたのが原因なんじゃないかなってことだった。むかしはちいさい「ッ」をつかわなかったから、それだと「カミツレ」になる。

でも、たとえば Schiller [シラー]っていう名前をむかし「シルレル」ってかいてたみたいに、-lle をうつすのに当時は「ツレ」じゃなくて「ルレ」をつかったはずだ。じっさいに日本語でカミツレのほかにカミルレっていうのもある。これだとシルレルとおんなじやりかただ。こういうことからすると「カミッレ」ってうつされたのが原因っていうのはうたがわしい。

で、しらべてみたら、『日本国語大辞典 第2版』(小学館)の「カミツレ」のとこにちゃんと説明があった。

「カミルレ」に「加密列」「加密爾列」などと字をあてたのを読み誤ったもの

なるほど、「加密列」「加密爾列」っていうあて字が原因だったんだ。このばあい「列」が「レツ」じゃなくて「レ」のつもりでつかわれてるのとおんなじで、「密」は「ミツ」じゃなくて「ミ」をあらわしてるわけだ。「爾」が「ル」なのは日本の漢字音じゃなくて中国の発音をかんがえればわかる。「加密列」は「カミレ」で、「加密爾列」は「カミルレ」のつもりだったんだろうとおもうけど、それにしても、よみまちがいが「カミツレツ」になんなかったのはどうしてなのかな。

2013.02.04 kakikomi

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