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西洋古典叢書『モラリア』完結

西洋古典叢書(京都大学学術出版会)の『モラリア』全14巻がついに完結した。

最初の配本『モラリア14』がでたのが1997年6月で、最後の『モラリア4』が2018年6月。刊行の順番はバラバラだったけど、とにかく20年をへてとうとう全14巻が完結した。

『モラリア14』は西洋古典叢書のいちばん最初の配本だから、西洋古典叢書そのものがおなじだけの年月をへてることになる。いちばんあたらしい『モラリア4』でこの叢書は134冊になった。

『モラリア』は日本語で『倫理論集』っていわれてるけど、内容は倫理に関するものだけじゃない。著者はプルータルコスで、日本では『モラリア』より『英雄伝(対比列伝)』のほうが有名だろう。『プルターク英雄伝』(河野与一訳)として岩波文庫に全訳があるし、ほかの文庫にもいくつかはいってる。

『モラリア』の訳は、河野与一選訳『プルターク『倫理論集』の話』(岩波書店)っていうのがあったし、岩波文庫にもなん冊かはいってるし(『饒舌について 他五篇』『愛をめぐる対話 他三篇』『食卓歓談集』『似て非なる友について 他三篇』『エジプト神イシスとオシリスの伝説について』)、そのほかにもほんのちょっと翻訳があったけど、これでやっと全部の翻訳がそろった。

岩波文庫の『プルターク英雄伝(十二)』には付録として117ページにわたる「『倫理論集モラリア』各編の梗概」っていうのがある。けっこうくわしい要約で、『モラリア』がどんな内容なのかは、とりあえずこれをみればわかる。

プルータルコスはデルポイの神官をつとめたこともある人だけあって、神秘学的にも興味ぶかい内容が『モラリア』にはいろいろある。

たとえば、ブラバツキーの『神智学の鍵』には、『モラリア12』の「月面に見える顔について」からの引用がある(日本語訳『神智学の鍵』の『モラリア』の引用部分には誤訳があるけど)。この「月面に見える顔について」には神知学とかでいう人間の三分説(魂と体みたいな二分説じゃなくて、霊と魂と体っていうような説明のしかた)や、それとの関連で第二の死のことがでてくる。

それとか、シュタイナーの『神秘的事実としてのキリスト教と古代の密儀』には『モラリア5』の「デルポイのΕについて」と「神託の衰微について」からの引用があるし、『モラリア7』の「神罰が遅れて下されることについて」と「ソークラテースのダイモニオンについて」には臨死体験とそれに類する話がでてくる。

2018.06.28 kakikomi

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